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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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わたしはざまぁ。

作者: よっちゃん
掲載日:2026/02/28

 簡単なあらすじ。

 元覇王 (享年十八) 転生先は公爵令嬢エレクシア。 覇姫(はき)となり、ざまぁ軍団――覇天軍を率い、腐りきった婚約破棄劇を粉砕していく。

 卑劣な婚約破棄野郎共が、暗殺者を放った。

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「ククク……淑女だけの軍勢か。楽しみだぜ。おいガイアス、女どもは俺たちの好きにしていいんだよな?」


 テリオスの奴の声が、夜の闇に溶ける。


「油断するな、テリオス。淑女の軍勢といえど、女騎士崩れも多いと聞く。それにここは公爵家だ。どんな罠があるやもしれん」


「へっ、心配性だなガイアス。所詮は婚約破棄された令嬢どものおままごとだろ?

 俺たちA級冒険者パーティー《スーファイブ》が相手じゃ、遊びにもならねえさ」


 深夜。


 日々繰り返される、婚約破棄劇を荒らして回る覇天軍ざまぁぐんの本拠地――肥沃な領地を持つエルドレイン公爵の屋敷は、異様なまでに静まり返っていた。


 虫のもなく、あかりもほとんど落ちている。


 広大な敷地を囲む石塀いしべいを越え、俺たちは中庭へと降り立った。


 ククク、このジャッカス様は一流の斥候だ。今まで数多あまたの戦場、地獄をくぐり抜けてきた。

 魔物の巣窟、盗賊団の砦、邪教徒の地下神殿――


(しかし……静かすぎる)


 警備兵がいなければ、巡回の足音もない。

 魔力探知の結界特有の、肌を撫でるような違和感も感じない。


 これほど巨大な屋敷だ。

 通常なら巡回は最低でも二組、屋根上にも弓兵、結界は三重が常識。

 それが――ここまで何もない。


(罠か?)


 いや、と俺は首を振る。

 ついこの間まで、花よ蝶よと育てられてきた貴族令嬢の寄せ集めだ。令嬢らしくお茶会でもして、今はぐっすり眠っているのだろう。

 フッ、軍勢などといっても、所詮は素人のお花畑集団か。


 それにしても今回の依頼は()()()()

 とある高位貴族様から、秘密裏に回ってきた裏の仕事。


 標的は、

 社交界の華とうたわれた、王太子ハロルドの元婚約者。

 エレクシア・エルドレイン公爵令嬢。

 そして今や、覇天軍を率いる首領――覇姫はきエレクシア。


 学園卒業パーティーで王太子に婚約破棄を宣告され、その場で王太子を粉砕。止めに入った騎士団の精鋭すら血祭りにあげた絶世の美女。


 そんな尾ひれのついた噂が、裏社会ではまことしなやかにささやかれている。


 だが、所詮は貴族どもの茶番。

 甘ったれたお坊ちゃん相手に、お転婆なお姫様が()()()()()()()に決まってる。


 ヒヒヒ、

 そいつを好きにしていいってんだから、最高だぜ。


 成功すれば、一生遊んで暮らせる程の報酬。

 さらに、軍団の女どもは好きにして構わないときた。


 これまで幾度も死線を越えてきた俺たちだ。

 ドラゴン、魔王の眷属さえ踏み越えてきた、精鋭中の精鋭。


 たかが貴族の小娘どもなど――相手にもならん。


「見張りは、いないようだ。行くぞ」


 短く合図し、屋敷内へ侵入する。

 廊下は長く、暗い。

 俺たち五人は、足音ひとつ立てず進む。


「フフフ、うるわしいご令嬢たちはどこに行ったんだ?

 俺たちへの歓迎パーティーでも準備されていると思ったんだがな」


 マーカスの奴が小さく笑う。

 頼もしい最強の戦士。

 こいつが壊してきた玩具おんなの数は、もう覚えちゃいねえ。



 やがて巨大な鉄扉の前で止まる。

 依頼書にあった位置と一致する。

 ここがエレクシアの寝室へと続く唯一の道。


 耳を当てる。

 気配は……ない。

 罠の気配も、魔力反応もない。


 ゆっくりと扉を押し、仲間を手招きする。

  全員が部屋の中へ入った瞬間―― 背後で、重い音が響いた。


 ゴオン! 


 取っ手を掴むが動かない。

 外側から封鎖された感触。


(ちっ、誘い込まれたか……!)


 最初に目に飛び込んできたのは、光だった。

 床一面に反射する、無数の銀光。

 一歩、踏み出しかけて――凍りつく。


「……なんだ、これは!」


 床が、ない。

 隙間なく並ぶのは、無数の槍の穂先ほさき

 白銀の刃が天井の灯りを鈍く弾き、冷たい森のように林立している。


「っ!」


 その中心――

 黒い天鵞絨ビロードのドレスを静かに広げ、女が腰を下ろしていた。

 片目は眼帯に覆われ、

 (あら)わなもう一つの瞳だけが、こちらを見据えている。

 膝の上で重ねられた白い指先。

 その背後では、夜そのもののような黒髪がゆらりと揺らめいていた。


(……なんだ、こいつは)


 背中に、冷たく、不快な汗が流れた。


 眼帯女が、ゆっくりと口を開く。


「――ようこそ、冒険者パーティー

 “スーファイブ”の皆様」


 声は細く小さいが、槍の一本一本を震わせるように、空間全体へと波紋のように広がった。


「私はこの《哭鉄(こくてつ)迷宮廊(ラビリンス)》を守護する四天王が一角、

 セラフィーナと申します」


 名乗りと同時に、金属の擦れる音がどこからともなく鳴る。


「皆様にはぜひ――

 私の“質問”に、お答えいただきたく存じます」




 挿絵(By みてみん)



「――おんなの生き様とは、

 なんぞや?」



 静かな声だった。

 だが、部屋全体を支配する不気味な響きがある。


「イヒヒ!可愛らしいお嬢さん。

 この程度の罠で、わしらを足止め出来ると思っているのかい? 」


 ドリアスが小娘を煽りながらも、抜け目なくスキルを展開している。



「答えは……それでよろしいでしょうか?

 よくお考えになってくださいませ」



 既に全員が戦闘態勢に入っている。

 馬鹿が!所詮は女ということか。

 俺たち相手にこれほどの隙を見せるとは!


 テリオスが、眼帯の女を見下ろしてわらった。


「ははぁ……なるほど。

 お嬢ちゃんは“()()()()()”を知りたいのか」

「簡単な話だ。

 強い男に選ばれ、愛でられ、犬のように従順に従う。

 それが女の幸福だろう?」


 テリオスの奴め、もう既に術を完成させたな?


「安心しろ。俺は優しい。

 ちゃんと順番に教えてやるさ」


 マーカスがベルトに手を掛け、舌なめずりをする。ちっ、こいつ、また壊す気だ!


「俺はよお、女の目が、恐怖に濁る瞬間がたまらねえんだ。誇り高い女ほど、壊し甲斐がある」

「ハハハハハ!泣いて、すがって、許しを乞え!!」

「さあ、お嬢ちゃん。俺たちがその綺麗な身体に、お望み通り“女の生き様”ってやつを刻んでやるよ!」

「残ったその目をくり抜いて、ズタボロに陵辱(りょうじょく)してやる!!泣き叫べ!!」

「ヒャハハハハハハッ!! 

 ショータイムの始まりだあ!!」

「ヒャッハーー!!

 レッツ、パーリィイイイ!! 」






 ――――――――――――――――――――





 ―――――――――――――――――――――





 ―――――――――――――――――――――



「キャアアアアアア!」


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈





 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 乾いた荒野を、覇天軍の馬車隊が一直線に駆け抜ける。


 ひずめが大地を打ち、砂塵さじんが爆ぜる。

 ほろの上には兵が立ち、旗が狂ったようにはためいた。


 車輪はきしみ、鉄輪てつりんが震え、怒号が風を裂く。





「あの、すみません。

 俺たちってどうなるんでしょうか?」


 挿絵(By みてみん)



 冒険者ジャッカスの問いは、轟音にかき消された。


 覇天軍は、

 止まらない。

 退かない。

 砂煙の向こうへ、ただ一直線に。

 哀れな暗殺者ざまぁの運命もまた、車輪とともに転がっていく。





 四天王セラフィーナは疾走する馬車の上に立つ。

 黒いドレスのスカートを風になびかせ、

 漆黒のすそが荒野を裂くようにひるがえる。




おんなの生き様とは――!」



 鈴のように澄んだ声が、砂煙を震わせた。



「エレクシア様に尽くすこと!

 覇姫(はき)御名(みな)のもと、我が命、灰となろうとも構わぬ所存!」



「アハハハハハハハハハハ!!」


 挿絵(By みてみん)



 馬車前方には、ざまぁの象徴として無様に拘束された冒険者マーカス。

 彼の喉からは、意味をなさぬ呻きだけがこぼれていた。


「うう……ううう……うう」




「ハーハハハハハハ!

 泣き叫んでも無駄だ!

 (しゅくじょ)を舐めるなよ!

 進め!

 一番槍の名誉、我ら第一軍がいただくぞ!」



 挿絵(By みてみん)




 その喧騒の只中ただなか――


 重厚な黒塗りの馬車が、微塵(みじん)の揺らぎもなく進んでいた。

 ひずめの音さえ整然としている。

 内装は深紅の天鵞絨ビロード

 陽光は柔らかな金へと変えられ、車内を満たす。


 長い銀髪を揺らしながら、エレクシアはゆったりと脚を組んでいた。


「あのけがらわしい汚物共は何だ?」


 控えていたリリアーナが、即座に答える。


「昨夜、四天王セラフィーナ様が“鼠”を捕らえたとの報せがありました」


「セラフィーナか」


 ほんのわずかに、唇の端が上がった。


 挿絵

 挿絵(By みてみん)


「エレクシア様、今回の婚約破棄劇は、ヴァルディオン公爵家です。冒険者共を雇ったのも、あの家で間違いありません」


 静かに告げるのはリリアーナ。

 その声には一切の揺らぎがない。


「これは、罠ではないでしょうか?」


 エレクシアは、ゆるりと脚を組み直した。

 赤いドレスの裾がさらりと流れ、白く、滑らかな脚線があらわになる。


 磨き上げられた白磁はくじのような均整の取れた肌は、陽光を受けてほのかに輝き、その細さの奥に秘めた確かな力を感じさせた。


「フフフ、別に罠でも構わないさ」


 鈴を転がすような、澄みきった少女の声。

 あまりにも可憐で、あまりにも愛らしい響き。

 だがその奥底には、万軍を従える覇者の圧。


 組んだ脚の先――鋭利なハイヒールのかかとが、きらりと怪しく光る。


「全て……踏み砕くのみ」


 わずかに足首が傾く。

 それだけで、周囲の空気が震えた。



(続く)


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 ―― 父母と先生の会(PTA)

 並びに運営の皆様へ ――


 ――ご安心ください。全て履いております。

 Don’t worry—they’re wearing pants.


 日頃より、表現の場を健全に保ち、日本を背負うであろう青少年の教育と成長のためにご尽力されている皆様のご努力に、心より敬意と感謝を申し上げます。


 本作品における描写は、性的意図を主目的としたものではなく、狂信的思想と究極ざまぁというテーマ性を表現するための象徴的演出です。


 直接的な露骨描写はなるべく排除し、読者の想像に委ねる構成としております。


 表現の自由と健全性の両立という難しい役割を担われている皆様のご判断を尊重しつつ、節度ある創作を心掛けております。


 未熟な創作者ではございますが、節度を忘れず精進して参ります。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 もし少しでも面白いと感じていただけたら、 ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです^^


短編集を大幅に推敲し、一気読みしやすいようにした

連載版。


婚約破棄され系女子 ( 漢 ) の芸術的ざまぁ劇場


こちらもよろしくお願いします。

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