想像、妄想
広いホールで互いに真剣を持って、僕はハルカ、改めアリアと向き合っている。
死にたくない、傷つけたくもない。
どうしよう。
とりあえず突撃してきたアリアを剣も抜かず、鞘で捌いて、体勢を崩しアリアのおでこに指でチョン。
勝負ありかな?って言ったらカッコいいぞ!!
なんてクソダサい妄想をしていた。
いかんいかん。そんな暇はない。
とりあえず全力で謝ろう。謝って勇者じゃないって言おう。
そうしようそうしよう。
いざぁーーー!
アリアが突進してきた!
速い!
キーーン!!
くそ耳鳴りが!
負けるか!謝るぞ!
「この度はまことに、、、!
頭を下げたらアリアの横一線の剣撃を偶然かわした。
頭を上げる!
わわわ!
剣を差し出して敵意がない事を伝えなきゃ!
鞘に収まった剣を差し出した瞬間、アリアのニ撃めと僕の剣がからまった!
振り解こうとする僕とアリア。
アリアは転んで尻餅をついている。
アリアの剣は僕の手の中。
思わず手を差しのばしたその手がアリアのおでこをコツンと押した。
あ!!
これラッキーなやつだ!
妄想が現実にパターンだ!
それなら言わなきゃ。
「勝負ありかな?」
決まったぜ。
アリアを見下ろすと彼女は口をワナワナさせて涙を流し、その場から走り去ってしまった。
お見事!
サニー王が言った。
「あの動き、人間離れしてあった。アリアはこの国では最高クラスの剣士、あの一撃、わかっていて避けた様だ。やはり勇者の実力!」
いやいや偶然でしょ。
「ひとつ気がかりな事がございます。」
神父がサニー王に顔をむけた。
「もし、勇者様が予知能力や相手をコントロールするスキルなど魔法とは言えない超常現象を引き起こすスキルであった場合、、、。」
場合?王様は聞いた。
「魔王とその配下の能力になります。彼もまた魔人ではないかという疑いが生まれます。」
はっはっはっは!
バカな!そんなわけでなかろう。
息子を犠牲にして魔王の配下が生まれるわけないであろう。もうその話しはするな。
ははー 神父は深々頭をさげた。
「勇者よ我が姫がすまない事をした、これも国を憂いでのこととわかってくれ。
今はプライドが傷つき拗ねているが、この国のことを何でも知っているアリアと行動を共にしてはくれまいか?。」
「いいわ!絶対認めないけど。この国に本当に必要か私が判断するわ!」
泣き止んだのか?と王が聞くと恥ずかしさを誤魔化していた。
親子なんだなぁと二人を見ていた。
まず王家の武器庫へいき装備を整えて、隣国ウェイビーへ行き、協力を仰ぐのだ。
さてさてなんだから冒険ぽくなってきたが、ツンツン暴力お嬢様と二人上手くやっていけるのだろか、、。