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勇者と言うな

目を覚ます。

ここも真っ白な部屋。さっきの部屋よりは狭いけど、僕の部屋と比べたらかなり広い。

どうやらベッドに寝ている。

高級なベッドに寝たことはないがたぶん最高のベッドだとわかる柔らかさだ。

窓から差し込む光がホコリをキラキラ輝かせている。

窓際に小柄な女性が佇んでいた。

「お気付きでしょうか。お身体は大丈夫ですか?」

僕は大丈夫ですと答えて、自分の置かれている状況を彼女に質問した。

「すみません。後ほど、サニー王より直々にご説明いただくことになっております。私は貴方様が目を覚ました事をお伝えしてまいります。もうしばらくお待ちください。」

彼女はそそくさと部屋を後にした。


彼女はどこかの民族衣装なのか。レースをふんだんに使った、中世の貴族の様な、それでいてメイドの様な不思議な格好だった。

肩が出ているデザインなので褐色の肌がなんとも綺麗だった。

ハルカとは違う美しさがあるなあ、、、。

ハルカ!!

彼女と離れたのはいつだ!?

光に弾き飛ばされ。目を覚ますとさっきの部屋で、、。

頭が回らない。

王様?王妃?騎士団、貴方様を呼び出した??

アレ?


コレあれだ。


寝る前にサブスクでよく見る異世界転生のアニメと同じような状況じね?



いやまさか?



でもあの騎士団と騎士の死に様はリアルだ。

人が死んだ。7人も。僕のせいか?

頼んでもないのに。

ハルカもこの国に??


パニック状態でいるとバタンと部屋のドアが開いた。

さっきの王様とお妃様だ。



「おぉ!目覚められたから勇者殿!」

王様が大きな声で言った。

「お身体は大丈夫ですか?」

優しい声で王妃様は言った。

「すみません。ありがとうございます。今何が起きているのかわからず、さっきも僕のせいで何人もの人が酷い目にあったみたいで。ほんとに、、。」

僕は込み上げてくる涙をこらえきれなかった。

「ごめんなさい。ほんとにごめんなさい。」


「辛い思いをさせてこちらこそ申し訳ない。」

「君に事情を説明させてくれ。」

王様はそう言言ってベッド脇の椅子に腰掛けた。



王様と何時間話しただろう。時間はわからないが外はもう暗く星が見える。

王様の話しをまとめるとこうだ。

この王様はサニー王。この国[プルメリア国]の何代目かな王様。隣は王妃クラウディア


この世界には人間、亜人(人間に似た人間でない者)魔物、魔人(言葉を理解し、言語を持つ魔物)魔王(魔人を統率する王)が何百年も争い続けている。主には人間対魔王引いきる魔人と魔物。亜人は種族によって人間の味方だったり、そうでなかったりするらしい。

人間の世界には国があり王様が各地にいて、共闘したり逆に争ったりもしているとのこと。

ここ数十年魔王を見た者はいないけど魔王配下の上級魔人たる者が各地で国を滅ぼしているらしい。

プルメリア国にも魔人の手が伸びて、主要な戦力は悉く戦争で失ったみたい。

残った戦力はもう数えるほどで、国自体維持する限界なんだそう。


コレ完全に異世界きたな。

妄想癖の僕の想像を圧倒的に超えた現実に、頭の中で冷静になれと繰り返した。


「ではあのマントの方々は何なのですか?」

僕は聞いた。王様と王妃の目に悲しみが宿る。

聞いてはいけないことだったのか?


少しの沈黙の後王妃は口を開いた。

「あの者達は王族騎士団、そして最後に其方と話をしたのが、我が息子ソレイユ。あの者達の命と引き換えに勇者をこの世に転生させる禁断の魔法を使ったのだ。本来命をかけるものではないが、我が国には大量の魔力を消費を必要とするこの術を使える魔道士がいない。ソレイユだけの魔力では術が発動しないので、配下の6名が協力し術を発動したのだ。息子は死ぬつもりではなかった。だか、やはり魔力が足らず、今回の様な悲劇を生んでしまったのだろ。」

「勇者殿でも悲観しないでくれ。息子達の命を持って貴方の様な勇者を転生させることに成功したのだから。彼らを褒めてあげてくだされ。」

王様は涙をこぼした。


何だよコレ。勘弁してよ。頼んでないよ。

7人俺の為に死んだ??

どうしたらいいんだ。

そもそも勇者じゃないし。

何もできないのに呼ばれたって。

、、、、迷惑だよ。

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