転移した先、縁に従い。
眩しかった。
目を閉じていても明るい部屋にいる事がわかる。
起きなきゃ。
ゆっくりと目を開ける。
真っ白な部屋。広い。
綺麗な幾何学模様のふかふかの絨毯の上に寝ている。
壁紙は、世界史の授業で習った中世ヨーロッパの様式に似ているだろうか。
ハーブの様な香りに包まれている。
部屋を見渡す。
絵に書いた様な、誰が見てもこの人は王様とわかる出立ちのおじさん。60代くらいだろうか。顔に見合わず身体はプロレスラーの様に筋肉が盛り上がっている。
その隣にはこれまた誰が見ても王妃様って感じの女性。王様と比べてだいぶ若い、娘にしたら艶っぽくたぶん歳の離れた夫婦なんだろうと思わせた。
30代くらいかな?背が高く、豊満な胸元をあらわにした煌びやかなドレスは彼女の気品がいやらしいさを消している。
アレ??
マント?を付けた人間?がうずくまったり倒れたりしている。
数えると7人。
状況を飲み込めない。
よく見ると一人だけかろうじて動いている。
その人のマントだけ他の人の黒いマントではなく、白地に金色の装飾のあるものだった。
苦しそうにしている。20代くらいかな?
ふと声をかけられる。あの豊満な女性だ。
「申し訳ございません。事情はわからないと思いますが、彼の話を聞いてあげてください。」
目は涙で潤み、今にも溢れそうだった。涙を流さないのは彼女の王妃としてのプライドか。声は震えていた。彼[白いマントの男]に対する慈しみを感じた。
「は、、はい。」
呆然と事態が飲み込めない中、この人のお願いは聞こうと思えた。
白いマントの男に向き合って始めて気がついた、彼は口から血を吐き、顔は土色で目の焦点があっていなかった。
「誰がこの人死んじゃうよ!!」
僕は言ったが、遮る様に白いマントの男は僕に語りかけた。
「私達王族騎士団の命に変えて貴方を呼びました。死ぬ事への恐れ、貴方への恨みはございません。貴方が私達以上の活躍をし、いずれ魔王を倒し、この国を安寧へと導いてくれることを、騎士として、貴方にお願い申し上げます。何とぞこの国を、、お頼み、、申し、、、ハル、、」
彼は私に縋り付いていたが。最後の言葉を振り絞って死んだ。
僕は叫んだ
誰か!誰か助けて!
自分がこんな大きな声が出るのかと思うほど叫んだ。
急に目の前が暗くなり僕は気を失った。