プロローグ
筋トレに勤しみ自分の筋肉美を追求する男”立川友樹”は、
大会前の過度の減量により、餓死してしまう。
そんな彼が薄れゆく意識の中、最後まで考えていたのは、
夢だったマイジムを持つことが出来なかった後悔。
人選の幕を閉じたに見えた立川だったが、
筋肉大好き好き女神の計らいによって異世界転生する。
転生した立川が見たのは、
戦乱によって極度に栄養状態が悪く、貧弱な体つきの者たちだった。
立川は188㎝95㎏の恵まれた体格と、鍛え上げた筋肉で異世界を平和にすることが出来るのか。
大きな壁一面の鏡。そこの左から3歩目の位置が1番"映える"。
ライティングが完璧で、筋肉の凹凸で出来た影が、自分の身体を完璧に見せてくれるのだ。
そしてこの場所でポージング出来るのは、ジムに人がいない今!深夜2時!
「フゥー」
タンクトップを脱ぎ、ハーフパンツをたくし上げ、息を吐き、全身の筋肉に力を入れてポージングをしていく。
減量で腹が減り過ぎている。力を入れる度、意識が飛びそうだった。
「ハッ」
ダブルバイセップスをすると綺麗な逆三角形の体が鏡に映った。
身長188センチ、体重95キロ、完璧な仕上がりだった。彫刻のような自分の体と絞りに見惚れていると、ジムに人が入ってきた。
慌ててたくし上げたハーフパンツを下し、手に持っていたタンクトップを身につける。
「マイジムがあればなー、いつまででも眺めれるのに、いつでも鍛えられるのに」
いつも思っていることだが、一般サラリーマンの自分には夢のまた夢。
そもそも、一通り揃えようとすると3桁万円は飛んでいくのだ。
更に2年前に勇気を出して入れた無理やり部屋に入れたパワーラックの凹みによって、アパートの退去費50万を請求されて以来、自宅にも置くというのは諦めた。
取り敢えず帰ろう、明日にはカーボアップができる!それだけが楽しみで今を生きているんだ。
明日の楽しみだけを糧にジムを出て、十五分かけて歩いて帰った。
今は減量の最終段階、プロテインを飲むこともできず、スズメの方がもう少し食べるんじゃないかという量の食事をとった。
シャワーを浴び、ベッドに横になってもお腹が減りすぎて眠れない。
もはや空腹というより飢餓だった。
眠れない、眠れない。
古典的な手法に頼ってに羊を数えてみても無駄だった。
どうしようか、明日からは休みだから寝れなくてもなんとかなるけど、、、
そう思っていた時、急激に瞼が重くなった。
あぁ、これでやっと眠れそうだ。
だがなにかがおかしい。
いつもの眠気ではなかった。
どちらかと言えば意識が飛ぶみたいな…
まぁ、いいか…
はじめまして。都津 稜太郎と申します!
再訪の方々、また来てくださり感謝です!
今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。