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薄幸令嬢は吸血鬼を狩る者に愛される  作者: 中西徹


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24.封魔の血

 明るいうちに小夜を離れに送り届け、研究所に戻ってきた瑛人(あきと)は、(はやて)の診察室のベッドに腰かけ紙束をめくっている。


 紙には、先日の戦いで小夜の血を吸った屍食鬼(ししよくき)の解剖結果と、小夜の血液の研究結果が書かれていた。


「不思議な血よね。見て」


 (はやて)がシャーレに入れた灰色の肉片に、ピペットで血を垂らすと、中で動いていた肉片が動きを止め、次第に人間の肌の色を取り戻していく。


屍食鬼(ししよくき)の口内の毒にも効果があるかと思って、採らせてもらった血で経過を見ているんだけどね、そちらでもいい結果が出そうなのよ」


「そうか」


「他に、こういう効能を持つ血の伝承を探してみたんだけどね、見て。陰陽寮の文献にこんなものがあったの」


 (はやて)の持ってきた古い書物に目を通す。


 特務陰陽機関は、妖退治や占術を行う陰陽寮の下にあった部署から独立し、対吸血鬼と屍食鬼(ししよくき)に特化して作られた部署だ。


 独立した経緯がやや強引だったことから、二つの機関は共にライバル視している部分があり、資料や情報のやり取りも難しい。が、(はやて)は陰陽寮の資料をどのルートからか借りてこられたようだ。


「この、妖を惹きつけ封じる特殊な血を持つ一族の部分ね」


「封魔の血……」


「血の中の魔を封じる部分が上手く作用して、屍食鬼(ししよくき)の中の魔なる部分を封じることで人間化しているんじゃないかと思われているわ」


 いずれにせよ、これからもっと血が必要なんだけどね。と語って、シャーレを机の上に置く。

「人間化する期間は、永続的なものなのか?」


「今のところ、一時的なものだという見方が強いわね」


「そうか」


「これから研究が本格的に始まる予定よ。小夜さんの体がつぶれないよう、よく面倒を見てあげてね」


 (はやて)の言葉に、瑛人(あきと)が頷く。


 目は文献に落されたままだ。


「それにしても、あなたが小夜さんの面倒を見ることを申し出るなんて思いもよらなかったわ。部下に任せたらよかったのに」


「貴重な血の持ち主であり、不知火(しらぬい)家にも狙われている。護衛をするなら僕が適任だろう」


「忙しいくせに」


 含みのある物言いに、じろりと目をやると(はやて)は飽きれたように肩をすくめた。


「この一族は、今もまだ存続しているのか?」


「どうかしらね。陰陽寮にとっても便利そうな血だもの。いたとしても隠しているかもしれないわ」


「そうか……」


 文献を閉じた瑛人(あきと)は、椅子から立ち上がりシャーレを手に取る。


 シャーレの中の肌の色を取り戻した肉片をじっと眺めていた。

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