表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/23

f


 タテイシは僕より醜い。人間の中で美しい汚いを引き比べるなんて狭き門だね。動物から見たら大差ない。見た目は90%が生まれつきだと思うんだ。

しかしね、問題は清潔感なんだ。僕は女の人に理想をすり合わせてるだけなのかも知れないけど、男は不潔だよ。だから、せめて清潔感だけでも大事にすべきだと思うんだ。

タテイシの何が汚いってね、タテイシはわきがなんだ。会う日ごとに臭いが変わってるんだ。

ある時は花の臭いがしたり、ある時は芳香剤の臭いがしたり、ある時は消臭剤の臭いがしたり、ある時はカレーライスの臭いがするんだ。

イドの中には優越感と自己防衛本能が隠れていると思うんだ。イドは大まかに言えば無意識のことだよ。

僕はイドの中で会った女の人を即座に恋人にしちゃうんだ。多かれ少なかれ男はそうだと思うけどね。

タテイシの恋人にされちゃった人はかわいそうだ。多分、裸にされて、延々と愚痴を聞かされるんだ。

自己防衛本能ってのはね、例えば、色盲が治ればいいなーと思った瞬間に、治らなくていい、って思うんだ。ぬか喜びほど辛いものはないよ。

タテイシはイドの中でもわきがを気にしてるんだろうな。氷山の一角が幸せだとして、残りの大半は不幸せが詰まってるんだ。

だから、自己防衛本能で不幸せでいいって思うんだろうな。残りの優越感で自分を慰撫するんだ。

他の動物たちは自己分析なんかするんだろうか。腹が減ったなとか思うくらいだろうか。

そうやって考えれば、今日明日の食事に汲々としていた狩りをしていた頃の方が幸せだったのかも知れないね。秋になったら栗の実を拾って笑うんだろうな。もうすぐ春だから。

みんなで笑い合ってた頃が懐かしいから人は物を食べるのかも知れない。進化して枝分かれして脳みそだけが偉くなった人間だけど、草創期に生まれた人は有利だよね、何たって火が諸世界の根源だって言っただけで歴史に名前が残るんだから。覚えてないけどね。現代でいえばそれは間違いだ。

火なんてない方が人は幸せだったのかも知れないのに。智慧の実は生で食べたんだろ?

偉人たちが現代に生まれてたらって時々夢想するんだ。アインシュタインは撮り鉄になってたかも知れないし、キュリー夫人はスムージーに凝ってたかも知れないね。フロイトはネカマになってたりして。

ああ、タテイシはなんて不幸なんだろう! みんな臭かった時代に生まれていればああなることもなかったのに。

タテイシに敬意を込めて愛と炎の歴史は「The Rose」を意識するようにしよう。

朝は決まって嫌な事を思い出す。今日は昨日のことを思い出した。本当にひどい一日だった。神様は「何にもしてないよ」って言うだろうけどね。

変な時間に寝たせいだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ