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ひどい顔だ。幽霊が手招きしてる。
幽霊がいたとしたら、だけどね。この頃、肩こりもひどいんだ。
ストレスは現代病だね。だからみんなハイミナールをやるんだな。
神様はストレスじゃないからね。
僕の作品はね、「愛と炎の歴史」っていうんだ。
愛煙家の遍歴を著したもので、ミッチェルとエマが旅をするんだ。
ミッチェルは、僕の名前じゃなくて、「終わりない物語」のミヒャエル・エンデなんだ。
アイゥオーラおばさまが好きでね。帰る家があるって素敵なことだなあ。
エマはエマニエル夫人じゃなくて、エマージェンシーなんだ。
エマも色盲でね。
何より、「レタスネット」に支配されてるんだ。
そういう世界観しかできないんだよ。才能ないのかな。
カスタネットがない時代を生きてないから、かえってポピュラーとかつくりたい。
ハイミナールをやってる時は、自分がバラバラになる感覚を持つんだ。
ユリシーズのように旅をするんだ。エマと。
きっとどこかに煙草を吸う場所があるはずなんだ。
煙草にはアンモニアが含まれている。
クマリンも含まれてるのかな?
舞台はアイオワ。行ったことも行こうとも思わないけど、とにかくアイオワなんだ。
炎が燃えてる感じがするんだよね。アイオワってさ。
季節の変わり目だからかな、ヒヒまで戻りそうだ。
カスタネットは睦み合った姿とは裏腹に、「断絶」を感じさせるんだ。そこだけ地獄を落っことしたみたいに、69してるんだ。
希望って何だ?
なぞなぞじゃないよ。
はらぺこあおむしさ。
食べ過ぎてお腹壊してワンワン泣いて、緑の葉っぱを食べて蛹になって、まるまる太った蝶になるんだ。
愛は美しい蝶だ。
緑って涙色のことだろ?
さよならなんて法螺さ。
動物は泣かないだろ? 人間だけが泣くんだ。それが嘘さ。
そういう人は、気付けば、天の国にいるんだろうね。
ここでひとつsighをした。
sighってのはため息のことだよ。
僕の小説はため息を吐いてばっかなんだ。
西の空は茶色い。僕はいつも夕日が終わろうとしてる頃に外に出ることにしてるんだ。
青い闇の中を走るためにね。光を見つけられる気がするんだ。
それまではインドアもインドア。真っ暗な部屋で小説書いてるよりいいだろ?
走るのは体にもいいし心にもいいよ。夜が僕の中の炎を追い出してくれるまでね。
終わりのない物語を書くためにね。
月を見過ぎると狂うっていうけど、僕が狂いそうになるのは部屋の中で水滴の落ちる音を聞いてる時なんだ。
蛇口が一本壊れてるんだ。
鍾乳洞に閉じ込められて水滴の落ちるのを聞いてるだけで狂っちゃった人の話を実際聞いたこともあるんだ。
とかく、人ってのは狂いやすいもんだね。
時々、僕は色盲なんじゃなくて色覚過剰なんじゃないかって思う時があるんだよ。全てが色で見えるんだ。数字だったり、人だったり文章だったりその時のムードなんかもね。
だから、光を見つけられたとしても、光として認識できるのかな? やっぱり青いんじゃないか。
そんなことを思うのは月を見過ぎたせいかな。太陽を見るのはなかなか応えるけど月は見えるように工夫されてるんだ。
星なんかもそうだよね。超新星爆発してもうないのかも知れないけれど、どっかの遺跡が目に浮かぶんだ。
それはもう誰もいなくて空もなくて星の周回軌道に神話を語ってるんだ。石がね。
宇宙人がいたとしてもそれが生命と言えなかったらどうするんだろう。毒ガス吸って生きてるのかも知れないのにさ。命って細胞のことだろ?
ただ宇宙空間を漂ってるシースルーみたいなものが宇宙人だったりするんだよ。
黄昏に透き通る瞳は宇宙人だね。
僕がやってる事は芸術の輪姦だよ。芸術でカスタネットに勝とうとしてんだから。