表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/23

k


 目を休めたくて外に出てみた。遠くを見ようとしたら、もう黄色いライラックが咲いてるんだ。

僕は誘われるようにしてカスタネットの方に歩き出したよ。

ツンと鼻を撞く匂いがしたよ。銀杏だ。加齢臭みたいな匂い。

かぼちゃ色の空に黄色いライラックがよく映える。

カスタネットにはもう亀裂が入ってる。

別れ話を切り出されたのかな。

僕はカスタネットに登りもしないで下から花を見上げてた。

僕は下から見える木の枝の影が大好きなんだ。それは神秘的で、偶然というより必然でできた血管みたいなんだ。やっぱり自然には勝てないな。葉脈より綺麗だ。

鼻の頭にヤンマが止まった。自然ってのはどうしてこんなに綺麗なんだろうねえ。レイカも自然なら僕も自然だ。自分が見えないのが自分なのかな。

世界は三角錐だ。肩車あるいは鶏のとさか。底辺はオムレツでできてるのかも知れないね。

さやぐ音に耳を澄ましていると何か世界が平和になった気がするんだ。公孫樹の木にそっくりなんだ。だからかも知れないね。

虎柄のジャガード織りの花が祝福するように降ってくるんだ。とても綺麗だったよ。

「キーキー」

花霞みにCan't Take My Eyes Off Youがこのまま抱きしめてに聞こえたな。オラトリオって知ってるかい? 映画やドラマじゃあるまいしバックグラウンドミュージックは流れないけど、誕生日を祝ってくれてるみたいだったな。

りんご病で胎児の内に死んでもいいってくらいに感極まったな。

これは追いつめられて泣く涙じゃない、だって自己紹介がまだだろ? でも泣かなかったな。僕はアシテナガザルだから。

鼻水は殺菌の作用もあるんだよ。いつか花粉症になるのはそういう訳なんだよ。

僕はずっと上を見上げてた。ミケランジェロがそうしたみたいに。首が疲れただろうな。

僕は色盲だけど、誰もそんな世界見たことない。僕だけの世界だ。

この世に理想郷があるとするなら、人は生まれた季節を好きになるっていうけど、死ぬなら冬にしてよね。喪服って暑いだろ? 死んでまで人に迷惑かけたくないんだ。

僕の墓にはこう彫ってほしい、「へったくれ」って。

見たもので十分なんだ、後は老人になったら「人生、長かった?」って聞かれてみたい。そばに誰かいたら。

僕は「Moon River」を熱唱するんだよ。

ハックルベリーフレンドってどういうものか知ってみたい。それはきっとOver the Rainbowで会えるものなんだろう。

天国に行ったら僕の色盲も治るかな。そんなの嫌だよ。

何かが降って来る。あの卵が大きくなったのかな。

きりもみ状に。旋回して。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ