第98話 国王と安心
お待たせ致しましたー
レイン……レイン!!
ああ……あの子は大丈夫だろうか!?
無事でいるのだろうか!!
私は光の出所に急いだが……光がだんだんと小さくなっていくのがわかる。
なら、レインは無事なのだろうか?
無事であってくれ!!
王子である以上に……大事な我が子よ!!
私の……大事な、大事な子供なのだから!!
あと少しで……離宮の最上階に向かうことが出来る!!
レインの安否を確かめられる!!
レイン……レイン!!
「レイン!!」
光が消えそうになっていたのだが、構わずに扉を開け放てば。
レインは、目を擦って……起きようとしていた。
「んー? ち、ちうえ?」
「ああ、レイン!!」
私はレインの無事が嬉しくなり、起きあがろうとしていた我が子に駆け寄って……抱き締めた。
苦しがるレインの声が聞こえたが、私は無事が嬉しくてさらに腕の力を込めてしまったよ!!
「父上! 痛い!!」
「お前が無事なのが嬉しいんだ!! 怪我はしてないか? 何があったんだ!?」
「え? ……綺麗な、光が……あって、あれ?」
思い出せないようで、私もいい加減力をゆるめて周りを見たが。半分物置状態になっているこの場所は……古い道具の集まり場所でしかない。
だが、ところどころに……先ほど起きた光ほどではないが、小さな光がちらほらと見えた。
その光の粒に……どこか見覚えがあった気がした。
「……『貴女』達は」
思い出した。
粒が、だんだんと……小さなフェアリーの形に見えた時に、少しずつ、思い出せた。
ここを寝床にしていた、大事な……我が国にとって、欠かせない存在を。
『……忘れないで』
その一言は、淡い光のようだったが。
私だけではなく、レインにも聞こえていたようで……強く頷いていた。
「……誓います」
いにしえより存在していた、我が国の守護達よ。
何故、忘れていたか。
何故、あのような光を放ったのか。
レインは無事だったが……何かを託されたのか。
粒は消えて……窓を通じて、外へと出て行ってしまった。
居場所を変えるのだろうか?
私達王族の目に、無闇に写らぬように。
そう思うことしか、出来なかったが。
ひとまず……事態は落ち着いたと見ていいだろう。
私はレインを抱えて、下で待っている妻の元へ行くことにした。
次回は最終回




