第86話 天神様と焦燥感
お待たせ致しましたー
レインが?
王子……と言う言葉は、聞いたことがある。
前世……の社で、宮司らがテレビなどで観ていたドラマか何かで。西洋風の皇族とは……聞いたことがあった。
であれば、それに該当するのなら。
レインは……この国の皇族?
いや……王族と言うものか?
だが……何故それなら、街のあのような場に来ていたのだ?
父親もいたが……まさか、彼が国王??
色々……情報が頭の中を駆け巡ってしまったが、今は焦っている場合だ!!
聖樹石の方向に……レインが向かっているかもしれない!
綺麗で珍しいものが好きなのは、子供の特性だ。
その好奇心で、この騒動に巻き込んではいけないのだ!!
『トビト、フータ! 急いで先に向かおう!!』
『う……ん!』
『承知』
飛翔の速さの方が絶対に上だと思ったのだが。
先を走っている、レインがいきなり……速さを上げた。
驚くほどの速さで、先を走っていくのだった!?
私は焦ったが、追いつかねば……と自分も速さを上げたが。
(……なんて、速さ!?)
狐耳を持つことから……種族的な特性を持っているのだろう。
獣人……と言う存在を、よくわかっていなかった。
あのように……子供でも、強く特性があるとなれば。
間に合うだろうか?
出来れば、巻き込みたくはない。
此度は……魔物ではないが、厄介な精霊と言うのもいると言うのに。
先に……先に、と焦ってはいたが。
レインはいとも簡単に……私の先を走っていく。
階段などを駆け上がっても……その速さは変わらなかった。
光は……どんどんまぶしくなっていくのだった。
うふふ……
うふふ……うふふ……
さあ……おいで、おいで
甘ったるい、子供のような女の声が聞こえる。
ひとつじゃなく……複数。
であれば、それがフェアリーと言う精霊か?
レインは、もう巻き込むのを避けられないが。
せめて……怪我はさせない!!
私は、トビトらにもさらに急ぐように告げ……レインを止めるべく、見えずとも手を差し伸べようとしたのだが。
光の中に……レインはそのまま飛び込んでしまったのだった!?
次回はまた明日〜




