第79話 天神様と確認事項
お待たせ致しましたー
『闇霧』を使うのは、宿を出て裏通りへ入ってから。
さらに、飛翔でリーフィア城へ飛ぶのだから……人目につかない方が良い。
あと、往来する道の中でぶつかっても良くないからね?
「【闇霧】」
今回はトビトにもかけなくてはいけないので、私はフータを抱えながら彼の隣に立つ。
一瞬だけ、自分の周りが黒い霧に囲まれるが……すぐに消えて、元の視界に。
トビトの方を見ても彼は見えるが……おそらく、周囲には私達が見えないだろう。飛翔を使い、早速上空に飛んでも。
『誰も気にしない』状態になれたのだ。
『す……ごい、凄い!』
私の手から離れたフータも、自分が他から見えないことに上機嫌でいた。
「この調子なら……忍び込んでも問題無さそうだね?」
「……おそらく、大丈夫かと」
『も……だい、ふぇありー』
「うん。どんな存在なんだろう」
いたずら好きとくれば……社にいた頃、まあちょくちょく悪さをしてきた邪鬼に雑鬼の類とも似ているだろうね?
あれらよりも面倒であれば……聖樹石を渡さないのに、必死で何かをしてくるだろう。
(……いや、もう既に)
トビトのいきなりの体調不良。
それに、もしや関係しているかもしれない。
少し先を飛んでいた彼に、私は近づいた。
「主?」
「ねぇ、トビト。正直に言って」
「はい?」
この様子だと、私が気づいたことには気づいていないようだ。
「昨日の見学で……調子悪かったのって。フェアリーとかになんかされたんじゃ?」
「…………隠せませんな」
「……大丈夫なの?」
やはり、彼らが関わっていたと言うわけか。
今は大丈夫そうではあるが、万全ではないかもしれない。
「……昨日ほどでは。邪気のようなものを向けられましたが、逆に還しましたとも。いくらか楽ではあります」
「絶対無茶はダメだからね?」
「はい」
仕返し済みではあるか。
ならば、私は彼らと対峙した時に……それ相応の仕返しをしようではないか。
私の大事な友に、仕打ちをしてくれたのだから。
それなりに……仕返ししてあげないと。
小さな存在は好きだが……限度があると言うのを教えてあげねば。
日本風に言うのであれば。
(元天神を舐めないで欲しいね!)
私とて、今も人間ではないし……精霊としても、相手にお仕置きをしなくては!!
次回はまた明日〜




