第68話 天神様と見学①
お待たせ致しましたー
「城の一般開放かい? 行って受付すれば見れるはずさ」
一晩しっかり寝てから、女将に城のことを聞くと……そのように答えてくれたよ。要するに、行けばすぐに見られると言うことだ。
社などの一部を自由に人間が行き来出来るのと同じかもしれないね?
「ありがとうございます」
とにかく……行くしかない。
あそこに……おそらく、聖樹石があるかもしれないのだから。
『お……し、ろ』
フータも興味があるようで、私に抱えられながらも軽く身体を左右に揺らしていた。近づくにつれ、どんどん大きくなっていくからね?
「……かなり、大きいですな」
「そうだね」
トビトも驚くくらいに……大きい。
飛翔して、何とか上に登れるくらいの建物。
とは言え、現世での人間達が作るビルとやらとほぼ同じだろうか? 京には景観維持のためにほとんどなかったが……他所の地域ではかなり普通だったしね?
さて、受付とやらは……と、あちこちを見渡してみると。それらしい看板や身なりが整った女性が立っていたので、聞くことにしたよ。
「あら、城内見学の方ですか?」
「はい。この国に来るのも初めてなので……こちらを是非と勧められて」
「そうですか。リーフィア城へようこそ。ただ、ある程度の定員数に達してからの出発となりますが」
「では、ここで待てば?」
「はい。だいたい十名程度集まってからです。城内見学は名物なので、すぐに集まりますよ」
と言っているうちに、後ろからぞろぞろと人が集まって来たので……本当にすぐに行けそうだ。
受付を済ませてから、別の女性が手に小さな旗を持って案内してくれるようだが。
京でもよく見た……修学旅行などの案内係にも見えたね? 笑うのをなんとか堪えたが。
「はーい! では早速向かいますが……わざと逸れて一般解放していない場所へ行くと、ペナルティが発生しますのでお気をつけください」
それはなかなかに面倒だね。
私としては……聖樹石の在処を探りたいところだが、そう簡単にはいかないか?
トビトらと目配せをし、石の気配だけはしっかりと探ろうと決めた。
女性の案内により、列が動き出したので……私達も足を動かした。
『い……し、け……は、とお』
階段を登る時に、フータはそう答えてくれたが。
どれだけ奥に行けばあるか。
あったところで……今までの場所のように、何か試練でもあるのか。
わからないことだらけだが……必ず、世界樹に送らねば。
気を引き締め、私はフータを落とさないようにしっかり抱えたのだった。
次回はまた明日〜




