第59話 天神様と切り替え
お待たせ致しましたー
森が変わっていく。
浄化された魂も……天上へと昇っていく。
これで……良いのだ。
私達が成したことは、決して無駄ではない。
そう言い聞かせておかないと……私は心が納得しなかった。
あのような出来事が……これからもあるのだと思うと。
涙がその都度、溢れ出てしまうよ。
『……マスター、だ……じょぶ?』
フータに、また心配をかけてしまったのだろう。
私は……出来るだけ笑顔を作って、彼を撫でてやった。
「……大丈夫。未熟なのは痛感させられたけど」
『……マスター、す……ごい』
「そうかな? 石を送るしか出来なかったけれど」
世界樹は……何をしたいのだろうか。
聖樹石も……意識体を寄越してまで、私達に試練を与えたりした。
結果としては……双方の願いや、浄化などが叶ったが……私は神であった頃を抜きにしても、弱い。
弱過ぎて、不甲斐ないと感じてしまう。
【しかし……あの石を送ってくださったことで、我らの森も変われた。誠に、感謝してもしきれない】
「……そうだといいけれど」
ケルピーは、私達に感謝の言葉を使ってくれた。
せめて……それだけでも、素直に受け取ることにしたよ。
しばらく、ケルピーが飛んでくれたことで……入り口には問題なく到着することが出来た。
彼の背から降りた時に、ケルピーからなにかを差し出された。一本の……太い髭?
【我の触角。何かの役に立つだろう……持っていかれよ】
「……ありがたく頂戴するよ」
依頼などでも役に立つかもしれないが……とりあえず、鞄の中にしまっておくことにした。
彼は私達に向かって、軽く頷いてから……空を駆けていったよ。
『い……く?』
「そうだね? 次の目的地の途中まで……歩いていこう」
「……ですな」
ところで……世界樹は宝玉を使わず、何故ケインらに言伝を頼んだだろうか?
次回はまた明日〜




