表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/99

第55話 天神様と二番目の石②

お待たせ致しましたー

 美しい……。


 とても……美しい、光景であった。



(生涯で……このように美しいものを、我は今まで見たことがあっただろうか?)



 いや……一度とて、なかったであろうな。


 精霊殿……特に、ミザネと名乗られた……黒髪の美しい少年。


 ()の者が……我がちらりと見つけた『聖樹石』とやらの前で、美しい少女姿の意識体……と呼んだ者とやり取りをして。


 石に触れる時に……風が振動を起こしたような、美しい言葉を放った。


 震えた風は……我らを通りすぎたかと思えば、樹々を煽り……木の葉などを強く揺らしたのだった。


 何が起きたのかと前を見ようとしたのだが……石が美しい光を放ち、我らを包み込もうとしていたのだ!?



(……な、にが……!?)



 ミザネ殿が……声高らかに、呪を唱えただけなのに。


 さらに、光が。


 風が。


 辺り一帯を震わせ……我の身体を地に伏せようとする圧力をかけて、フータ殿を抱えておられるトビト殿も身動きが取れぬようだった。


 世界樹の……力の源。


 あの石は……一体なんなのか。


 ミザネ殿は……大丈夫であろうか?


 しばらく……身動きが全く取れないでいたが。そう言うものは長く続かぬと言うことなのか。


 光が急に消え、あの美しい大岩のように巨大な石も消え失せ……圧力も無くなった。


 代わりに……出来たのは。



『き……れ!』



 フータ殿の仰る通り。


 魔の森である通り……暗い景色でしかなかった、樹々や岩などが。


 森の外で見たように……美しい緑や花々が咲き乱れた、森では見たことのない光景となったのだ!?



【……ありがとう、ミザネ】



 意識体らしき、少女の身体は……透けて消え失せようとしていた。


 おそらくだが……ミザネ殿が触れて、世界樹に届けたことで……彼の者も、溶けて消えるのだろう。


 ミザネ殿は……少し瞳を潤ませながら、深く腰を折られたのだった。



「……次も、必ず世界樹に届けます」


【長旅の無事を……世界樹の中で見守っていよう。次の行き先は、すぐに世界樹から知らせがあるだろう】


「……はい」



 世界の各地に、聖樹石はあるようだが……どれほど必要か。


 我には……想像が出来ぬな。


 しかしながら……この森は最早『魔』とは言えぬだろう。


 美しく、生まれ変わった……幻想に近い光景。


 我も住みやすくなるだろう……ミザネ殿からの、触覚を与える冒険者らへの願いを先に叶えなければ。


 あの湖に戻らねば……と思っていると。


 何かがこちらに近づく気配がした。


 振り返れば……意識体のように、身体が透けたヒトの子が三名ほど居たのだった。


次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ