第52話 天神様とケルピー②
お待たせ致しましたー
(……これが、ケルピー?)
なんとも、神秘的と言っていいくらい……美しい獣だ。
言葉も話せるし……まず、間違いないだろう。
私達の正体も……彼にはお見通しのようだから、ここは大人しく打ち明けることにした。
「……お察しの通り。我々は精霊の者です」
【……わざわざ、この森にか? 何用で参った?】
「……特殊な石を探しに。そのために、あなたを探していました。赤紫の巨大な石をご存じないでしょうか?」
【……ふぅむ】
聖樹石の特徴を話したが……ヒントは得られないかもしれない。
どうやら……思い当たらないようであるしね?
「……あの。そちらに見覚えがないのであるなら」
【なんだ? 我はわからないとは言っておらん】
「……左様ですか」
少し急かしてしまったか。いささか機嫌を損ねたようであるが……怒ってはいないだろう。我々が人間ではなく精霊であるから、少し友好的かもしれない。
【……巨大な石か。見覚えはあるな】
「本当ですか?!」
それは、すぐにでも在処を知りたいところだ。
しかし……ここですぐに喜んではいけない。
憶測ではあるが……このケルピーから何かしら試練を与えられないとも限らないからね?
【して。あのような石……何に扱うのだ?】
「……我々は、世界樹の導きにより派遣されたものです」
だからここは……隠す必要のない情報を伝えるまでだ。
その部分を伝えると……ケルピーは軽く口を震わせた。
【世界樹! 斯様なところから……であれば、あれは力の源になるものか?】
「おっしゃる通りです。既に、石の意識体から……試練は受けました」
【ふぅむ。興味深い】
ケルピーは私と距離を詰めてくると……何故か、『伏せ』のような姿勢になったのだ。
「あの?」
【世界樹の精霊殿よ。不躾な物言いをして申し訳ない。我を扱って欲しい……その石の元まで案内致す】
「じゃあ!」
【我の背に。そちらの精霊殿らも】
「……承知」
『わーい!』
ただここでひとつ、忘れないうちにケインらの目的を伝えなければ。
「……ケルピーよ。我らをここまで導いてくれたヒトの子が、あなたのその触角を求めている。礼として……彼らにひとつだけでも分け与えてくれないかな?」
【……承知。触角であれば、また生える】
この約束をしたので……ケインらには恩を返せるだろう。
なので……ひとまず、ケルピーの背にトビトらと乗って、聖樹石のところへと向かうことにしたのだ。
振り落とされないように、彼の立て髪をしっかり掴めと教えてもらい……ケルピーは、我々の準備が出来たら……なんと空を駆けたのだった!?
次回はまた明日〜




