第51話 天神様とケルピー①
お待たせ致しましたー
真っ青。
その言葉が瞬時に浮かぶくらい……真っ青な湖面であった。
「……ここに、いるのでしょうか?」
言葉を話せる魔物……ケルピーとやらが。
ケインらに聞いてはみたが、すぐに首を左右に振られた。
「いや……幻獣種だかんな? 俺らも絵姿だけしか、どんな図体しているのかは知らない。棲息場所も水辺以外の情報も少くねぇんだ。希少種だし……まあ、大昔に乱獲したことで人前に姿を出さないってのも聞いてるが」
「ほんと。その大昔は人間と友好的だったのに……今の私達が見つけれないようにしてくれたんだから!」
「…………文句、言っても……仕方ない」
「そうだけどぉ!」
なるほど、それであちこちを探すしかないと言うわけか。
ざっと見渡してみたが……特に魔物の気配などはしない。目の良いトビトやフータにこっそり聞いたが、同じような反応だったね?
「手分けして探してみますか?」
「……そうするしかねぇか」
「ね? 固まって探しても仕方ないわ」
「……探す」
「じゃ。僕らは僕らで」
それぞれのメンバーで探すことになり、湖をぐるっと半周回ることになったよ。
ケインらと別れたので……私はトビトらと秘密をすることなく話が出来る。この時間を有意義に使いたい。
『マスター……ケルピー、大事?』
「そうだね。聖樹石へのヒントを得られるかもしれないし……神秘的な魔物であれば、見てみたい気持ちはあるけど」
「言葉を有するのであれば……情報は得られるでしょうな」
「試練は……ひょっとしたらひとつではないかもしれないしね」
社の宮司らが……休息時間にハマっていた『ゲーム』とやらで知ったにわかの知識だが。たしか……そのような仕組みがあるのを覚えた。
今は、こちらが私にとって現世ではあるが……森に入ったことで、色々試されてはいる。得られるものも得たが……リーンのような存在が他に居てもおかしくはない。
だから……ケルピーとやらもそのひとつではないかと思うんだ。
『た……め、し……?』
「たしかに。二つ目と言えど……我らを試すように、聖樹石の意識体が現れるくらいですからな? この探索も……無関係とは言えますまい」
「うん。だから……慎重に探そう!」
しかしながら……かなりの時間をただただ岸に沿って歩いているだけ。
いつ、ケインらと合流出来るかとぼんやり考え出してしまう時に。
どうやら……おいでなすったようだ。
【……我に何用か? ヒト……いいや、精霊の者か?】
紫、青、白銀。
それらの色合いが……神秘的に配色された、馬のようなそうでないような。
とにかく……ディアナが言っていたように、言葉を有する魔物と遭遇出来たのだ。
次回はまた明日〜




