第43話 天神様と魔の森①
お待たせ致しましたー
魔の森と言うこともあり……そこからは、本当に様々な魔物と出会った。
と言う表現は聞こえがいいかもしれないけれど……。ためらう隙もないくらい、多くの魔物らが私達を襲ってきたのだ。
倒すべき存在。
魔の生き物。
それらの本能ゆえか……私達を倒して、喰らいたい欲が……言葉を理解せずとも、ありありと表情に浮かべていた。それだけで、理解は出来たよ。
討伐証拠は……もはや、必要ない。あり過ぎるくらい、魔法鞄に仕舞い込んであるからね? 弓、時にはレイバンが仕立ててくれたブーツを使い……私はトビト達に負けないくらいに、魔物を屠っていく。
どれだけ倒しても……場所を移せば、また湧いてくるように出てきた。
聖樹石の気配は……フータを主軸に探っているが、まだ遠いようだ。
「うーん。まだ先なんだね?」
『う……ん』
「……飛翔も難しいでしょうな?」
そう、奥地へと進むにつれ……ひとつ問題が出てきたのだ。
私達がやっと使えるようになった『飛翔』が、徐々に威力が弱くなっているのだ。他の体調などは問題ないのだが……その飛翔のみ。術とかも特に問題なく扱える。
となれば、考えられるのは……この魔の森だろう。
聖樹石が、意識体を寄越すくらいだから……この魔の森は、魔物が跋扈する以上に特殊な場所。
なんらかの魔の力が働いているのかもしれない。そこに……私達は精霊だから、相性が悪いのだろう。
とは言え、存在を多少は許されているのか……完全に居心地が悪いわけじゃないけれど。
「うっわ!?」
「な、何これ!!?」
「む!」
幾度か討伐を終えた箇所で……何故か人間と出会ってしまったよ。
向こう側も……冒険者なのか、そこそこ良い身形をしていたね?
「あ、どうも。こんにちは」
とは言え、無視をするわけにもいかないから……私がまず声を掛けてやった。トビトだと逆に警戒させてしまうからね?
ただ、言葉の掛け方が普通過ぎたのか……彼らは、私を見るなりぽかんとしてしまったが。
「こ……んにちは?」
「ぼ、坊ちゃんらが……やったの? これ……」
「む。強……い」
トビトほどではないが、悪くない体格の男性。
少しキツめの目をしている女性。
話し方が、少し独特である小柄な男性。
ざっと見た感じ……トビトよりは強さが劣る感じではある。私よりは上だろう。
「僕より、こっちの契約精霊と彼のお陰ですよー」
なんて私が言うと……トビトが少し不機嫌になったが、小声で『大丈夫』と告げて宥めておいた。
『だ……れ?』
フータは私の前に来ると、彼らを今認識したのか体をふよんと揺らした。
「え……精霊?」
「かっわいい! ……え、しゃべれる??」
「ちゅ……きゅう!?」
フータの存在はどこでも強いと認識されるのだろうね? 主としては、いくらか誇らしく感じた。
次回はまた明日〜




