第39話 天神様と移動手段
お待たせ致しましたー
蔓が多く、茎や花びらに巻きついている姿。
私達は、シトゥリでそこそこ採取の依頼をこなしてきたが……全く見たことがないものだったね?
鞄に、一応これまで採取した一部をリーンに見せたが……彼女には首を左右に振られた。
「怪我……がね。そこから……病気になって。変な……模様になっていくの。だから……村長さんに聞いたら、これだって絵を見せてもらったの」
「そっか。上手だね」
「絵は得意!」
と言うことは、文字は幾分か苦手なのだろうか?
それはともかく、トビトらの後始末が終わったところで……私は此度も殺生してしまった魔物らに祈りを捧げた。
リーンには、不思議そうな顔をされたがね?
「魔物でもね? 生きていたものなんだよ。天国へは行けなくても……ちゃんと生きたものへの祈りは大事だって、僕は思うんだ」
「そうなの?」
まだ子供だから、難しい部分はわからなくて当然だ。
だから、私は彼女の頭を撫でて……大丈夫だと笑うだけにしておいた。
「とりあえず、君の依頼だね? どこに生えているか……わかる?」
「うん、と……水辺だって村長さん言ってた」
「たしかに……この先に水のある場所が見えますな」
さすがはトビト。頼もしい限りだ。
フータは浮くことが出来るのと、子供の足ではゆっくりとなってしまうので……フータに少し大きくなってもらってから、リーンを乗せて移動することにした。フータも経験値? とやらを得たことで、出来ることが増えたのだよ。
大きさも、今なら私くらいなら乗せられるほどだ。だから、私より軽いリーンなら余裕だろう。
「すご〜い!」
『あん、まり……動かない、でね?』
「うん!」
移動の不便を解消しても、いつもの速さではリーンを落とすことがあるだろうと。少し速足程度の速さで水辺があるところへ向かうことにした。
(う〜ん……魔物の気配は無さそうだが)
先ほど、いきなりワーウルフの集団に囲まれた危険性がある森。
世界樹に、私やトビトらは大丈夫だと言ってもらえたが……ここに、リーンが加わるといつもと訳が違うのだ。
護りながら、どこまで戦えるか……いきなり遭遇することもあるだろうし、慎重に向かわねば。
トビトに目配せすると……本当に頼もしい相棒は、私の心配を察したのかゆるく笑ってうなずいてくれたよ。
元から気づいていたかもしれないが、流石だね。
「む。水の匂いがしますな」
そのトビトから、さらに頼もしい言葉をもらえたよ。
「近いってことだね。急ぎ過ぎても危ないし、慎重に向かおう」
『う……ん!』
「お兄ちゃん……見えないのに、わかるの?」
「少し……俺は特殊だからな」
と言うより、リーン以外全員が精霊だと言われても……子供には信じられないだろう。
とにかく、薬草……リーンが言うには、『快癒草』と言うものが手に入るのが近いはず。
けれども、慢心してはいけないので……やはり、慎重に足を動かすことにしたよ。
次回はまた明日〜




