第28話 天神様と防具②
お待たせ致しましたー
「……俺よか、もっと良い職人はいんだろ?」
手持ちの金額を伝えると、店主はまた深く落ち込んでしまった。なかなかに、気難しい性格のようだ……わかってはいたが。
「いえ。ここに来るまで、何人かに聞きましたが……あなたを勧めてくださいましたので」
串焼き屋でもだが、ほとんどがそうだった。
ここの店主が……非常に腕の立つ職人であることに。ついでとばかりに『頑張れ』とは言われたが、本人には伝えないでおこう。おそらく、この落ち込みに関係があるようだから。
その隠す部分以外を伝えると……店主は、いきなり顔を上げてきた。そして、落ち込んでいた表情を……まるで、期待に満ちた子供のように輝かせていたのだった。
実に単純だが……まあ、それは生きている存在ゆえに。感情の起伏があって当然だ。
「お……俺をか!?」
「はい。皆さん言っていました」
「! そうかそうか!! そりゃぁ、期待に応えねぇとな!!」
軽く跳ねてから立ち上がり、店主は私の方に手を差し出してきた。おそらく……握手なので、私も手を差し出せばすぐに握られた。
柔らかな手ではなく、固い皮が特徴の職人らしい手だったよ。
「……僕らの防具、作ってくださいます?」
「おうよ! 金に問題ねぇのはいいが、まだ新人。下手に目立つのはよくねぇが……最高のもんを仕上げてやるぜ! おっと……俺はレイバンってもんだ。改めてよろしく」
「よろしくお願いします」
そこからは、採寸を測るのに……私やトビトをそれぞれ服の上から紐の尺で寸法を測り。
素材云々については、レイバンに任せ……私達は工房を後にすることにした。出来上がりにいくらか時間がかかるからと……それまでに、討伐に必要だろうと仮の防具を貸してくれたのだ。
「ぶっ壊してもいいから、遠慮なく使ってくれや!」
鎧……と言うアーマーとやらは、革と金属で出来てはいるがしっかりしたものだった。
膝、肘にも急所を守るための防具も。
靴も、革靴に金属が表面にうまく貼り付けてあるものだ。これは、蹴りだけでも魔物を倒せる武器にもなるらしい。
これでも十分だとは思うが、レイバンとしては納得がいかないのだとか。
「いい防具が出来るといいね?」
「そうですな。……しかし、ミザネ殿。あそこは防具屋。であれば、武器も新調してみるのは?」
「あ、いいね! ここの近くにあるかな?」
トビトの提案で、次の行き先を決めたが……武器屋らしい工房を探してみると、すぐ近くに看板があったので向かうことにした。
フータは少し眠そうだったが、まだ用事は済んでいないので我慢してもらうしかない。
次回はまた明日〜




