第23話 天神様と真偽①
お待たせ致しましたー
腹ごしらえをして、採取も無事に終わらせたのだが。
シトゥリの冒険者ギルドへ戻ると、なぜか職員の者らがあちこちあたふたしていたのだよ。
何かあったのだろうか?
「あ、ミザネさん達!」
ウサギ耳のミィが私達に気づいてくれた。受付のテーブルにあるものを適当に退け、どうぞと言われたので……大丈夫かと思ったが、依頼は完了したのできちんと報告せねばならない。
現世風に言うだろうが、『報連相』は大事だからね?
「……お疲れ様です。あの、これ討伐証拠とクエスト用紙ですが」
「お疲れ様です! いやー、今あちこちちょっとばたついてしまって!」
「……僕らが来て大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ! ミザネさん達は期待の新人さん達ですから!!」
そう言われると、こそばゆいと言うかなんと言うか。
とりあえず、用紙と集めたものを渡すと……ミィの表情が少し固くなり、前のように他の職員を呼びに行って仕分けなどを始めたのだった。
(私以外にも……トビトやフータも一緒に採取したりしたからね?)
三輪草の質が良いのは仕方がないかもしれない。
すると、ミィはそちらよりも討伐証拠と用紙の方を職員と話していた。あちらで、何か変わったことがあったのだろうか?
「……こちら……は」
「……だよね」
距離は然程離れていないが、小声で話しているので聞き取りにくい。
トビトに振り返っても、首を左右に振られるだけ。
悪い知らせではないとは思うが……どうしたのだろうか?
「……お待たせ致しました。少々質問させていただいてもよろしいでしょうか?」
受付の前に座ったのは、ミィではなく……犬耳、いや、狼の耳かな?
そんな特徴を持つ男性が、ミィの代わりに私達の前に来たのだ。ミィは彼の後ろで待機している。
「はい?」
「こちらの討伐証拠……どちらで小鬼を討伐してきたのでしょうか?」
「……三輪草の地図があった場所で」
そこについては嘘をついていないので、トビトに目配せしても頷くだけだ。
「……わかりました。では、この三輪草も?」
「はい。小鬼を討伐した後に……近くで」
聖樹石については、彼らに言っても信じてもらえそうにない。三輪草についても、嘘はついていないのでまたトビトと頷いた。
狼耳の男性は、私達の反応を見ると……少し目を閉じたが、すぐに席から立ち上がった。
「嘘はついていないようですね。ですが……一度、ギルマスの前でも同じように答えていただけますか?」
「……ギルドマスターに?」
エディトにも報告とは……ここではいけないのだろうか?
次回はまた明日〜




