第18話 天神様と初めての討伐①
お待たせ致しましたー
朝食をしっかり取ったあと……冒険者ギルドに向かい、今日の依頼を何にしようか悩むことにした。
聖樹石の手がかりはほぼないのだから、地道に探すしかない。
しかし……フータのように精霊の導きはあったのだから、運と言うのは強いかもしれない。
学問や縁切りの神であった私に、今更『運』があるのも少しおかしいが。
「……うーん」
依頼はだいたい二種類。
魔物の討伐か、薬草などの採取。
変わったのだと、護衛。
最後は、さすがに私達のような低いランクの冒険者では雇われないだろう。
トビトが腕の立つ精霊だったとしても……ランクが低いと信用度は薄いはず。それは私も同じだから。
『……マスター、悩……む?』
「どれを受けようか悩むんだよね?」
「……採取は昨日致したが」
「せっかくだから、討伐も両方受けようかなあ?」
生き物……を殺生するためらいとかがないわけではないが。
これから、聖樹石を回収していく上で……何が起こるかはわからない。
とくれば、それに慣れなくてはいけないと思うのだ。
クエストボードから紙を二枚剥がし、今日はミィがいなかったが……狐耳の男性はきちんと応対してくれた。私達は昨日と同じように……検問所の外を出たが。
『お……そと、外……!』
フータは嬉しいのか、とても上機嫌だった。
「景色が変わると気分いいよね?」
『う、ん!』
「本日は……三輪草の採取に加え、小鬼の討伐数体ですな」
「あとの方は出来たらにしよう」
採取場所によっては、聖樹石の手がかりになるかもしれないと思ってね?
トビトの髪と目と同じ色合いの……あの美しい結晶。
どこでどう存在しているかわからないが……早く、ひとつでも見つけなければ。
世界樹のためにも、この世界のためにも。
いきなり、異世界転生とやらになってしまったが……これでも、私は今の生活を気に入ろうとしている。
平安の世で、ただただ学問などに明け暮れていた人間時代とも違うのだ。
何もかもが新鮮に映り、とても興味深い。
とりあえず……採取場所に行こうとする途中で、『それ』はいた。
「「ぎゃーぎゃー!!」」
フータのように話せない……小柄な鬼。
日本だと邪鬼の類と同じに見えたが……こちらの方が、少しばかり大きい。
手には棍棒のようなもので、こちらを威嚇してきたが。
私もだが、トビトには何の意味もなかった。
「主よ。まずは我にお任せを」
「うん。お願い」
トビトの実力がどれほど通じるか……気になっていたので、フータを抱えながら頷くと。
トビトは、地面を蹴ったかと思えば……ギルドで購入したクナイのような武器で、あっという間に彼らの首筋を切りつけてしまった。
トビトが少し奥に行った途端、紫の血飛沫が上がった。
次回はまた明日〜




