迎えのクリスマス
さて、あれから時が過ぎ1年が経とうとしています。仲間のトントゥを迎えに行くのはついでの様なもので、いつもながらクリスマスの準備で大忙し。
その間、取り残されてしまったトントゥはというと…。
プレゼントを貰えなかった一人の子供の所にいました。
最初トントゥも、この少年はなんて意地悪なんだろうと、思ったものです。
けれど、少年を見ていてトントゥは知ったのです。この子がただ、周りの人間とどう接していいか分からないだけで、寂しさを抱えた子供である事に。
トントゥはそれを知っても、見ている事しか出来ませんでした。
声をかけることも、
なぐさめることも、
一緒に泣くこともできず。
ただ、見ている事しか出来なかったトントゥは、仲間が迎えに来るのを待ちながら『帰ったらきっと、この子のためにプレゼントを作ろう!』と心に決めたのです。人々が、街さえも寝静まるこの時。
やっと、仲間のトントゥがプレゼントを抱えてやって来ました。
「おぉーい!迎えに来たぞっ、一緒にプレゼントを配るの手伝ってくれ!」
トントゥは当たり前のように仲間の元にはしっていって、プレゼントを配るのを手伝い始めます。そこでやはり、あの少年に今年もプレゼントが配られる事がないと知り。やっぱりかと、思う反面とても残念な気持ちになりました。
帰ってからというものこのトントゥは、仕事が終わればいそいそと部屋にこもって出て来ないものですから、よっぽど人間の家が怖かったのか、と、同情したものです。何人かの仲間のトントゥで、彼を元気づけようとしましたが、変わらず彼は部屋に引き篭ったままでした。
また、次のクリスマスを終えたサンタクロースとトントゥ達は労をねぎらうために準備した。焼きたてのパンにサラダ、ローストチキンやシチュー。テーブルいっぱいに並べられた沢山のご馳走から焼きたての芳しいパンの香り。皮までパリッと焼けたローストチキンの香ばしい香り。シチューのミルクがほんのり甘い香りを部屋に満たす。ご馳走の香りは、皆の食欲を最大限まで引き上げていたので皆席について。
食事を楽しみながら、サンタクロースが見せてくれるプレゼントを貰ったこ子供たちの喜ぶ顔をみていたときのことです。
他の仲間は気づかなかったものの。いち早く異変に気付いたのはサンタクロースでした。
トントゥが自分であの少年の為だけに作ったプレゼントを少年が自信たっぷりに家族に見せているのです。その姿を見たサンタクロースは「おやおや…」と、苦笑いを浮かべるに留めていました。トントゥはサンタクロースに気付かれてしまったので、気が気ではありません。案の定食事が終わったあとトントゥはサンタクロースに後で部屋に来るようにと呼ばれてしまいました。