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絶滅危惧種は恋をする  作者: ななな
10/25

伊織の気づき

二人の関係が優しく築かれてゆくそんな中

凜音はまだ自分の心がよくわからずにいた

伊織もまた凜音のことを考えるが─

「…」

 ここは凜音の部屋

 今は午前6時35分

 彼は目を覚ました

 

 ゆっくり起きあがって、朝日を取り込むようにカーテンを開く

 

 朝一番に彼の頭に浮かんだのは

 昨日の伊織の笑顔

 

「…」

 彼は自分の胸に手を当てる

(…ざわざわする…ワクワクするような…)

 

 とりあえず着替えて、洗面所までゆっくり歩く

 

(…伊織さんに褒めてもらったから…ワクワクしてるのかな…)

 

 そして鏡の前でいつもより入念に髪を整える

 

(…今日は、何があるかな、伊織さんは何をするんだろう…)

 

 今まで植物でいっぱいだった頭の中が

 伊織のことでいっぱいになる

 

(…なんでだろう…不思議な人だから、かな…?)

 

 *****

 

「…ふぁ、…あぁ…」

 伊織が起きる

 セミロングの髪が少し癖をつける

 赤茶の髪は朝日を反射して輝いた

 

「…まだ…6時半…」

 もう一度布団に入り込む

 すると急に目を覚したように瞳を大きく開いた

 

「…凜音君…もう起きたのかな…」

 

 ふとそんなことを口にした

 

「…私…凜音君のこと好きなのかな…?」

 そう言うと伊織は頬を染めながら笑う

「…いや、そんな感じじゃないかな…もっと可愛いとか…弟みたいな…」

 と言いつつ

「…でも、髪切ったらすごくかっこよかったな…ちゃんと顔見てなかったのかな…」

 そう言ってしばらく黙る

 すると伊織は思いついたようにはっとする

「…私…が…上手く行ってなかったのって

 …私…ちゃんと人の目を見て話してたっけ…」

 そう言うといろんな記憶が蘇る伊織

「…あのお客様に…私…話ばかり楽しくしようと必死になって、…彼にも…無理して…面白い話でもって…話してて…

 …え…そんなこと…だったのかな…」

 

 するとゆっくりと布団から起きあがって立ち上がった

 ふらふらとした足取りでカーテンを開く

 

 取り込んだ光はひどく眩しい

 

「…目を見てたら…私…変わってたのかな…」

 そう言うと心が詰まったようにいっぱいになった。

 

 ガクリと崩れ落ちた

 

 その拍子に近くの台に手を払ってしまい様々なものがテーブルからがしゃりと落ちる

 

 でも伊織はそんなこと気に留めることなどできない

 

「…っ…私…なんで…」

 凜音が塞いでくれた小さな傷口が開いたように

 伊織の瞳からは大粒の涙があふれる

 

 すると廊下の方から走っている足音が聞こえた

 そして伊織の扉を慌てて叩くような音が聞こえる

 

「伊織さん…?大丈夫ですか…!今大きな音が…」

 台からものが落ちたときの音だ

 

 凜音の声だった

「…っ…うぅ…凜音君…私…」

 すると扉が開いた

 伊織が振り返るとあまり表情を灯さない凜音の顔がひどく焦っていた

「大丈夫ですか…!」

 そう言って伊織のもとに駆けつけた

 

「…凜音君…ごめんね…私…」

 そう言いながら涙で凜音の顔が見えない伊織

「私…君がせっかく慰めてくれたのに、また苦しくなっちゃった…」

 そう言って子供みたいに泣きじゃくる伊織

 しばらくそんな時間が続いた

 凜音は何も言わない

 伊織からは凜音の立ち尽くしたような足元しか見えない

 

(…あぁ…幻滅しているんだわ…)

 そう思った

 めんどくさい人間だと思われただろうか

 

(こんなことで泣くなんて…おかしいよね…ほんとに…なんでこんなに弱いんだ…)

 

(泣きやまなきゃ…)

 

 そう思い必死に涙を拭い始める伊織

 しかし涙は止まらない

 

「…ごめんね…すぐ…泣き止むから…っ…」

 そんな自分が惨めに見えてもっと涙が流れ出す

 

 すると温かい手のひらがそんな伊織の腕を優しく掴んだ

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