出会う
ぼくは桐に出会う。その日はいつもと同じようにパソコンで興味あることを眺めたり掲示板に書き込んだり、スマホでゲームをしたりして過ごしていた。
ぼくも健全な男なわけでアダルトサイトを見たり、出会い系なんかも見る。たまたま入ったサイトで見かけた子。
友達になりたいって下着姿の写真を投稿していた「TADAUMI」という女の子。
顔は写してないけどこれを見た瞬間ぼくはピンッときた。
──ああ、この子はぼくに会いたいんだ。ぼくの為に本当は恥ずかしいけど、頑張って下着姿を晒してくれてるんだ
このとき運命なんて信じないぼくは運命を感じてしまった。神様に謝ろう、そう思った。
数日はメールを送ったりしてみたが返事は来ない。焦らされているのだろうか? 色々悩んでぼくは分かってしまった。
──探しにいかなきゃいけないんだ。迎えに来て欲しいんだ!
ぼくは早速、彼女を調べる。まずは制服、これは簡単。すぐにどこの高校生かを割り出す。
投稿された写真から位置情報を確認、更衣室だろうか? 床に散らばっていた荷物の中にあった手鏡に映っていた人物を拡大し撮影者の顔を特定する。
ここからはそれらしいSNSを回ってその子や、学校に関する情報を集める。運良く、鏡に映っていたこのSNSに
ここまで時間はかかったが「TADAUMI」に会うため。おそらくぼくに見つけて欲しくて手がかりを残してくれていたんだろう。そう思うと疲れも吹き飛ぶ。
(ここからが大変だ。鏡に写っていた女の子に「TADAUMI」のことを聞かないといけない。
正直女の子に話をするのは苦手だ。でも彼女が待ってるんだ、泣き言は言ってられない)
ぼくは着替えて久方ぶりの外に出る。
***
星咲 天倫は桐の同級生であり、いじめの中心にいた人物である。前に落武者の化け物に襲われ怪我をしたものの今は普通に学校に通っている。
あの事件で襲われた五人とも学校には戻ってきているが、二人は大人しくなったが、今はその二人が天倫のターゲットになりかけている状態である。
その日三人で商店街をブラついて帰る為、校門から出ていつも通り下品な笑い声をあげ歩いていると、太った中年の男が現れ、吃りながら話しかけてくる。
「あぁ? なにお前? 気持ち悪いんだけどさ。大声だそうか? 捕まるよあんた」
「い、いいやこ、これ。この子が知りたいんです。そ、その教えて、教えてくれませんか?」
心底嫌そうな表情で罵る天倫に、怯えながら男が差し出すスマホに視線をやると、見覚えのある写真がそこにはあった。
「これさ、あまりんが前に撮ったやつじゃん」
取り巻きに言われながら写真と男を交互に見た後、天倫はニヤアっと笑う。
「あんたさこの子に会いたいんだ。良いよ教えたげる。だけどさタダじゃあないよ。分かる?」
男が必死で頷くのを見て天倫はニヤニヤ笑う。
***
見た目はきつそうな子だったが「TADAUMI」の情報を細かく教えてくれた。
お金も三万円と良心的だった。こういった情報を得るために金銭をケチるのはぼくの主義に反する。
出し惜しみして情報を小出しにされるより、スパッと払うのがお互い気持ちいいものなのだ。
お陰で彼女の名前が「忠海 桐」だと分かった。大体の家の場所も聞けたし、現在休学中ということも知ることができた。
きっとぼくに会うために学校を休んで待ってくれているんだろう。
弾む心を抑えながらぼくは家を探す。
名前とおよその位置が分かれば早い。地図のアプリを使い歩かなくてもそれらしき家を探しだし向かう。
二軒目にしてそれらしき家を見付ける。
表札には「忠海」の文字があり間違い無さそうだ。
丁度そのときだった一人の女の子が家の門をくぐりインターフォンを押す。
自分の家なのに? と疑問はあるが引き続き観察する。
女の子は髪を出てきた女性に見せているようだった。やがて家に入り三○分もすると大量の荷物を手に出てくる。
女の子が見送りに来た女性に、
「お母さん、私必ずやりたいこと見付けるから。迷惑かけるけど絶対にやり遂げてみせるからね」
そう言った。
なるほど、あの子は今家を出て違う場所にいる。一人暮らしかなにかだろうか。
だが確かに「お母さん」と言った。あの子が「桐」で間違いない。ぼくはスマホのシャッターを押し彼女の写真を撮る。
遠目から見ても可愛い。ぼくにピッタリの子だと思う。
「やぁ~と、みつけたぁ。あの子が桐かぁ、可愛いなあ。ぐふふふふふ」
ついつい声に出してしまう。
***
それから数日かけ彼女の今の家を見付ける。
「黒猫探偵事務所」そう看板に書いてある小さなビルに出入りしている。
想像していた場所とは違うけどどうやらここが彼女の住んでいる場所らしい。
更に数日彼女の行動パターンを観察する。
黒髪の着物女性と買い物に出掛けたり、仕事だろうか茶髪の白い服を来た女性に連れられ三人で出掛けたりしていた。
見たところ買い物行く頻度が高く食事を考えながら食材を吟味しているところから食事係のようだ。
彼女が選ぶ食材を見て桐が作ってくれる料理を想像してしまう。
ぼくは沢山彼女の写真を撮った。今や部屋は桐の写真だらけだ。
「桐のこと大体だけど分かったよ。予習はこれくらいでもっと深く知りたいし、ぼくのことも教えなきゃね」
ぼくは一番のお気に入りの服を選び着替えると桐ちゃんに会いに行く。




