プロローグ
時を駆けるBBA ~あなたは人生をやり直しますか?~の裏話、「俺」視点の物語です。
またまた「パラレルワールド、異世界転移」とはいっても、地味な世界観です。
俺の孤独な戦い、お楽しみください。
個人的には、DA PUMPの『if…』聞きながら…がお薦めかも?
ハガキが届いた。
「足腰立つうちに(笑)32年ぶりにサークルの仲間で飲みませんか?」
文面にはそうあった。
少し躊躇う気持ちはあった。今更、どのような顔をして彼女に会えばいいのか…
でも、今このタイミングで同期会のハガキが来た事は…千載一遇のチャンスなのかもしれない。
「彼女が来るかどうかはわからないけど…」
手にしていた、テープで繋ぎ合わせた写真を机に置き、独り言を呟いた。
そして当日
「今日は休みでしょ?出かけるの?」
「うん、大学のサークルの同期会に行ってくる」
「……行って…大丈夫なの?」
「大丈夫の意味がわからないよ」
………………………
「久しぶり」
昔の恋敵と談笑している彼女に声をかけた。
「あっ、久しぶり!」
振り返った彼女は当時のように明るく挨拶を返してくれた。
「白髪増えたね~」
含み笑いで明るく言う彼女は幼く見えた。
「ミキちゃんは相変わらず明るいね」
とりあえず呼び捨てはないな…と思ってそう言った。
「彼にも言ったけど…この年齢にチャン付けはないよね~」
彼女は笑いながら言う。
「まぁ、そうだけど…
ミキちゃんも少し…と言うか大分ふくよかになったね」
「はい、おかげさまで…って、相変わらず毒舌だよね」
また彼女は笑う。
「毒舌か…」
ふと、初めて彼女に言われた日の事を思い出す。
「ふったんだってな」
突然あいつが話に割り込んできた。
何気ない感じだが、少し目が恐い。
「あ~、もう30年も昔の話だし、ナシにしよう。今も感謝しかないしね」
ニコっと微笑んで、彼女が言った。
「まぁ、ミキちゃんは今、凄~く幸せそうだから許す!ミキちゃんに感謝しろよ」
苦笑しながらあいつは言った。
「……お前に許されるつもりはねぇよ」
俺も苦笑しながら言った。
確かに、彼女は昔のように明るい。幸せなのだろう。
彼女は「ナシ」と言ったが、俺には一つだけ聞きたい事があった。
あの別れ話の日、何故あんな事を言ったのかを…