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万能の大魔導師~エイリア・ファシネイトのトラベルライフ~  作者: 智慧砂猫


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第46話「私ではどうしようもないこともある」

 急いで里に戻り、酒宴を開いている彼らのなかからフラッドを探す。だがすがたが見当たらない。近くのオーガに居場所を尋ねて、里の中を走った。密集した家々から少し離れた場所にある小さな洞穴のなかに向かい、魔法で杖の先に火を灯して進む。


「フラッド! ここにいるんだろう、話があるんだけど……フラッド?」


 暗闇のなか、大きな石碑に手を触れて彼女は目を瞑っていた。


「……ん、貴様か。なんじゃ、どうかしたのか」

「ああ、ちょっとね。……その石碑はなに?」

「死んだ仲間の名が刻んである。いわば墓じゃな、骨も残っとらんが」


 これまで多くの仲間が魔物同士の争いや、人間との諍いで失われてきた。とくにフラッドを中心とした穏健派のオーガたちは、過激な同族とは反りが合わず、喧嘩が絶えないなかで何度も里の場所を変えて逃げるように今の場所までやってきたという。


「結局ワシらも魔物の領域からは出られぬゆえ、手を出してしまいがちなんだがのう。……で、貴様のほうはなんの用事じゃ。話があると言っておったな」


「あ、そうだった。実はこの近くに魔法院の連中が来ていてね──」


 王立魔法院はかつてエイリアも所属していたことのある由緒正しき魔導師たちの楽園とも呼ぶべき場所であり、出世欲の高い者にとっては登竜門とも言えるほど、世界中からあらゆる魔法のエキスパートが集まっている。


 しかしエイリア・ファシネイトという英雄がそうであるように、魔導師とは徹底した利己主義な面を持つ。とくに上層部もなると、その気質が強い。研究する資金さえ提供すれば、額によっては悪事にだって手を染めることさえあるだろう。


 そのなかでも魔物討伐は規模で報酬が変わるため、定期的に都市に近い各地の目撃情報と照らし合わせて魔力計を設置しては探し出して駆除を行い、莫大な報酬金を得ている。魔物が強ければ強いほど良く、情報があったからか、めずらしく都市部から離れた場所にまで設置してあったようで、エイリアがサラマンドラを相手に全力を出したことで彼らが出張ってきてしまったという顛末だ。


「彼らは普通の冒険者なんかよりもずっと強い。君が抱える並のオーガたちでは敵わない相手もいる。私が追い払うのもさすがにちょっと問題があるしさ」


「なぜじゃ? 貴様のような英雄であれば言葉ひとつでどうにでもなるじゃろ」

「できればいいんだけどねえ。あいつら私とは仲が悪いから……」


 指先で頬を掻きながら、すこし恥ずかし気に顔を赤くする。


 王立魔法院の上層部とエイリアとは、魔法学における研究や、その資金繰りについて考えが異なっており非常に仲が悪い。いくら英雄と呼ばれていようと、彼らには目の上のこぶでしかなく、表向きは讃えつつも裏では毒を吐くほどだ。


 今回もきっと彼女が何をいったところで信用などされないだろう。


「彼らは私が報酬金を独り占めするつもりだと考えるはずだ。となれば、ここに来るのは今いる魔導師ふたりでは済まない。私が呼び水になっては問題だ。かといって君たちが出れば、それも逆効果になる。他に良い方法があればいいんだけど……」


 魔法薬を作るにも手元にある材料では話にならない。なにより今から薬草を探しに行くのは暗闇のなかでは最低の効率だ。悠長に探していては彼らがやってきてしまう、と頭を悩ませる。しかしフラッドは「なーんじゃ、貴様案外頭悪いんじゃな」とせせら笑う。


「なんだよ、馬鹿にして。君だったら良い案が浮かぶってのか?」

「はん! 当たり前じゃろ、貴様なら分かると思ったんだがのう!」


 腕を組んで自慢げに胸を張り、フラッドは言った。


「貴様に信用がないのなら、信用のある人間を使えばよい! この里にはカレン・リーベルタース。貴様と同じ、もうひとりの英雄がおるではないか」

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