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万能の大魔導師~エイリア・ファシネイトのトラベルライフ~  作者: 智慧砂猫


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第44話「フラッドの故郷へやってきた」

 それからすこし走らせて、何もないところでバルトンが馬車を停めさせる。もうひとりのオーガ、ゴードンと共に立ち、手を大きく振れば、目の前が水面のように揺れて大きな丸太で作られた門が現れた。傍には篝火が焚かれている。


「よし、入ろう。あー、えっと……そっちの人間ふたりは大丈夫か?」

「問題ないとも。私たちが襲われたら逆に殺すつもりだから」


 至極真面目な顔をしてエイリアは言う。決して冗談ではない。バルトンたちも、きっと彼女の言う通りになるだろうと一瞬身震いして、「まあそれなら」と招き入れる。


 進んだ先は、何本もの大木の根元や極端に太い枝、あるいは大木そのものを抉って作ったような木造の家々がある。フラッドを首長とした、穏やかなオーガたちが暮らす場所だ。人間同様、野菜を育てていたり、狩りをした獲物を捌いたり、魚を干している光景が広がる、極めて平凡と言える暮らしぶりがあった。


「おお、バルトンにゴードン! おかえり、その馬車は?」

「遅かったじゃないか。仕掛けた罠はうまくいったか」


 彼らを出迎えるオーガたちは誰も角が大きくない。言えば、バルトンやゴードンですらそれほど大きくないのに、ふたりよりもさらに小さい者ばかりだった。


「罠は上手く行ったが、掛かってたのがちょっとな。この馬車は人間の持ち物で……えー、紹介しておこう。こちらはカレンとエイリア。人間だ」


 彼の言葉に、集まった者たちが警戒をあらわにする。過去に人間からどんな仕打ちを受けたかを彼らは忘れたりしない。なぜ連れて来たんだと怒った者もいた。


「まあ待て! みんな、これには深い事情があるんだ!」

「だったら説明してみろ、バルトン! 人間を連れて来た理由は──」


 怒鳴り声に被せて「それには及ばぬ」と馬車からフラッドが降りてくる。全員がぎょっとした。死んだと思っていた首長が、そこに立っているのだから。


「しゅ、首長、生きておられたのですか!? その人間はいったい?」

「ワシの命の恩人よ。瀕死だったワシの傷を癒したのがエイリアじゃ」


 親指でさされ、視線の集中したエイリアは自慢げな顏をして小さく手を振った。


「この人間がですか? 本当に信じてもよろしいのですか?」

「俺たちは人間に騙されているんです。首長、また同じことが起きたら……!」


 彼らの不安に、フラッドは首をゆっくり横に振って否定した。


「こやつらは裏切らぬ。些細な嘘はついても、それはワシらでもそうだろう? ワシはしばらくエイリアたちと旅をしておったが、決して! ひとりのけ者にすることもなければ、食べ物だって自分たちの分ですら食べずにわけてくれる。そういう連中じゃ」


 里を出てから何があったのか、フラッドは仲間たちに説明する。エイリアとカレンが魔物に対しても寛容的であり、自分もまた救われた命だと。なにより皆を納得させたのは、里へ戻る途中で現れた厄介者、サラマンドラを討伐したこと。


 森を自由に歩き回れず、息を殺して緊張感のなか狩りを行わなければならなかった彼らにとっては大きな朗報だ。「本当にあのサラマンドラが!」と口々に叫んで喜び、涙する者もいる。なにしろ、これまでに何人かは犠牲になっている。


 里の食糧も限界まで来ていて、もう本当にダメかもしれないとさえ思うほどに飢えを感じ始めていたところだった。


「うむうむ、貴様らも良く理解したようだのう! では狩りや収穫はあとでもできよう、今はありったけの食糧をもって宴の用意をせい、客人を迎え入れようぞ!」

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