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夕陽が照らされる教室で

それからというもの俺と森崎の状況は続いていた。

放課後、俺は教室で森崎と2人になる場面があり、ここを逃せば話せるタイミングはもう無いような気がして声を掛けた。


「なぁ、森崎怒ってるのか?」


すこし沈黙が続いた

「あの日俺何も言わず帰ってしまったから…その、悪い。」


「怒ってなんかいないよ。ごめんね?なんか雰囲気悪くしちゃって。」


森崎は笑顔だったが上手には笑えていない。

そして席に着き深く息を吐いた


「なんか気まずくなっちゃって、一回話さなくなったらそのまま引きずっちゃって…どんな顔して相田っちを見れば分からなくって…私ってホント子供だよね。」


「子供だな。」


「ひど〜い!普通そこはフォロー入れる所でしょうが!」


このやり取りで少し張り詰めた様な雰囲気が和らいだ

「俺とお前って会った事あるのか?栗原がそんなような事を言ってたんだが。」


「りっちゃんめ!」


森崎は教えてくれた。

中学の時、森崎の家は家庭環境が上手く行っておらず丁度同じくらいに友達とも関係があまり良くなかったと。


「それで、すごく落ち込んでたんだー。」


ある日、公園に行くと同じくらいの歳の男子を見かけた。黒いマントを羽織い手には剣のような持ち振り回している。

何と戦っているかは分からなかったが何かと戦っていた。

それが相田だった。


「やめろ!やめてくれ!黒歴史!」


森崎は勇気を出してその相田に話しかけてみた。

「誰だ貴様!この私の背を取るとは出来るな!」


「なにしてるんですか?」


「私は今、私の内に宿る闇の龍ダークドラゴネスを目覚めさせ永遠の力を手に入れようとしているのだ!」


訳の分からない事を言い出して森崎は笑いを堪えられない。

久しぶりに笑えた。今までの不安や悲しみ孤独感嫌な事を一気に吹き飛ばしてくれるようで何か安心できてその場で泣き崩れてしまった。


「やめてくれーあの頃の俺を思い出させないでー!」



急に泣きだした森崎に驚き相田は焦っていた。

「どうしたのだ小娘!?まさか我の邪悪なるオーラに圧倒され恐怖心で!?」


「うあぁぁあん」


「少し待っていろ。」



そう言い「人間の生き血だ。飲め。」とジュースを買ってきてくれた。


「気持ち悪いんだけど…。ありがと!」

森崎は少し落ち着き笑顔になった。

「そんなに泣くほどこの世界が憎いか?」


「ん〜まぁある意味そうかも!」


「ならばこの私がこの世界を変えて見せよう!心して待っておれ!さらばだ!フハハハ」


そう言い相田はどこか遠くへ行ってしまった。


「って感じで中学生の頃一回会ってるんだよね!でもあの時は本当に意味が分からなかったけど救われたなぁ〜。」


「な、なんか少し記憶にあるかも…」


そして、それから2人は出会う事もなかった。

高校も無事合格し入学式の日初めて自分のクラスに入って相田を発見してしまう。


しかも隣の席だ。

「あの、よろしくね。」

「あ、うん。」

相田は何か顔色が悪かった。

「やっぱり私の事なんて覚えてないよね。」


そして、あの事件に発展した。

ハイドロポンプ相田だ。


「うそ!?倒れちゃった。」


「みんな運べ!」


「先生私が連れて行ってきます!」

「おーそうか、悪いな!頼む!」


保健室まで連れて行ってあげた。

「私の事覚えてるかな?」

相田はもう何も耳に入らない様子。

「今は無理か…」



保健室へ送り届けた後相田は1週間学校へ来なかった。

1週間後には相田はちゃんと登校する。


「大丈夫なのかな。もうあの変な喋り方はやめたのかな?あ、来た。」


その日、森崎も相田と同じくらいの大失態を犯してしまう。

オナラ事件だ。


ヤバー。昨日焼き芋食べすぎたせいだ。

ちょーハズい!いやー帰りたい!


「あ、屁が出た。」


え…?

なんで??

相田くん?



私は恥ずかしながらもありがとうと手紙を渡す

すぐに人間腹が痛い事もあると返事をくれた。


私は少し嬉しかった。

お礼をしたいけど何をして良いのかも分からなかったのでハマっていた塩飴をあげた。

恥ずかしさのあまり渡してすぐに走った。


雨の日も傘を忘れどうしようと困っていた時も彼は一旦通り過ぎて行ってしまったが


「あっ、戻ってきた。」

「飴のお礼。」


すごく嬉しかった。

すこし不器用な所が堪らなく可愛いと感じた。


「ありがとう、相田っち!」


相田くんと呼ぶのはなにか小っ恥ずかしかったからアダ名にしてみた。

これで少しは近づけるんじゃないかと…


もう私は相田くんを好きになっている。

いつも助けてくれる相田くんを。




「……だから、私は相田くんの事が好きです。」


教室は夕陽で照らされオレンジな光が眩しかった。

そんな太陽の光でも誤魔化せないくらい俺はあかくなっていた。



「い、いや…ちょっと待ってくれ!ちょっと色々とあり過ぎて混乱してるわ。少し整理させてくれ。」


その日すぐには答えは出なかった。


俺は…森崎が好きなのだろうか…

雫先輩は…

なにがなんだか…

ずっと1人で居たんだぞ俺は…

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