友達とは契約書が必要?
夏休みが終わる前日俺はベッドの上で苦悩していた。
「あーもう訳がわからん‼︎」
雫先輩の事森崎の事。
いっぺんに色々起こり相田の思考回路はショート寸前だった。
なんとかムーンのOP曲が頭の中をリピートしている。
「もういいや。何も考えん!」
翌日、学校へいつものように登校した。
「おはよ」
一応言っておく。
久々のステルスモード発動‼︎
「おっす!相田!」
なんと、あの竹田が親しげに声を掛けてくるではないか。
「お前焼けたなー!」
クラスの全員が不思議そうにこっちを見ている。
安藤でさえも。
それもそのはず竹田は俺の事を虫でも扱うかのようにしてきたのだから。
「お、おはよう相田くん!」
栗原までも俺の所へ寄ってくる。
更にクラスの連中の頭の上にらハテナが1つ増えた。
「あ、あんま教室で話かけんなよ。ゲロが移るぞ。」
俺は嫌味っぽくそう言った。
「何言ってんだよ!友達なんだから普通だべ!なぁ栗原!」
「うん!そうだよ!」
友達?いつ?どこでなった??そんな契約はまだ交わしてねーぞ。
ちょうど森崎も登校してきた。
「美沙ちゃんおはよう!」
「おっす!森崎ー!」
「あ、うん、おはよ。」
ものすごく素っ気ない。
いや、これは俺のせいなのか??
俺と森崎の間でめちゃくちゃ気まずい雰囲気を漂わせてしまっている。
「おい、お前らなんかあったの?」
竹田が小声で聞いてきた。
俺はなんと言って良いのか分からなかった。
「まぁちょっと…」
ちょうどチャイムが鳴り授業が始まる。
授業中でも小さい手紙やちょこちょこ話掛けてくることは多々あったが今日は一切無し。
振り向きもしない。
さすがの天涯孤独邪悪なる化身のこの俺も少しは気になり始めた。
放課後、竹田と栗原に呼ばれ学校の近くにあるファミレスまで向かった。
「お前と栗原どうしちまったんだよ!おかげで教室の空気まぢわりーぞ?」
「あいつがただ機嫌が悪いんじゃねーの?」
「そんな風には見えないんだけどな〜美沙ちゃんなんか悩んでるっていうか…」
「ダチなんだからなんでも言えよ!」
「ちょっと待て!俺はお前らといつ友達になったんだ?なにも契約なんか交わしていないぞ。」
そう、俺はこいつらといつ友達になったんだ。いや、それ以前に友達とはなんなんだ。
高校入ったら友達を作るとか意気込んではいたが、そもそもその先になにかあるのか?
「は?契約?何言ってんのお前。」
「だって分かんねーじゃん。相田の友達ですって名札でもしてありゃ分かりやすいけどな。」
「いつ、友達になったかなんて分からん!まぁ俺とお前はこの前の遊園地がキッカケなんだろうな。
どうやって友達になっただとかそんなん覚えてる奴の方が少ねーよ!
お前が言う契約ってのも意味が分からん!
仮に契約書に相田の友達ですって記入した所でそんなの友達じゃねーって。作り物じゃん。」
「そーか。」
「俺はさ少し後悔してるよ。お前の事罵ってばかり居たこと。もっと普通に話してたらお前が1人になることも無かった。
俺があの日、相談しに行ってなかったら多分お前とはこうして仲良く出来てなかったと思う。
でも、お前は嫌がらず引き受けてくれて俺はそんなお前の事尊敬出来るよ!
だからよ友達なんてもんは自然と出来てるもんなんだよ!ほら、真里さんとかあのメガネも生徒会長だって。もちろん森崎もな。」
「私もそう思うな〜それに美沙ちゃんは相田っち相田っちっていつも言ってるよ!」
「俺は何か友達に対して誤解してたのかもしれないな…じゃあ竹田も栗原も友達…で、良いのか?」
「当たり前だ!」
「うん!」
「で?何があったんだ??」
俺はその日あったこと全部話した。
二人は黙って聞いてくれていた。
「会長が!?まじでか!」
「そしたら森崎が…」
「お前もデリカシーってもんが無いな!森崎もお前の事ぜってー好きだぜ?」
「いやいや、それは無いだろ!」
「うん、私もそうだと思う。何も思ってなかったらそんな嫌とか言わないよ!
相田くんの話するときはいつも楽しそうに喋るし、中学の時相田くん美沙ちゃんと会った事あるんでしょ??」
「え?俺が森崎と?」
「え、違うの?これ言ったらいけなかったのかな…私それで仲良いんだと思ってた。」
「なんだそれ!俺も気になるわ!まぁでも一回森崎と話してみろよ。この状況が続いても暮らしにくいだろ?」
「まぁそうだな。一回話してみるよ。」
「おう、なんか困ったらいつでも俺らに言ってこい!」
「相田くん頑張って!」
「ありがとな。」
俺は友達とはどういうものなのか少しわかった気がした。竹田なんか絶対無縁の奴だと思っていたがマヂで良い奴だ。
明日森崎と話をしてみよう。