祭りの後の混乱
朝、雫先輩の家で朝食を頂いた。
昨日の事が俺は頭から離れないでいた。
そんな俺とは別に雫先輩は普段と変わらない。
大人の余裕というやつなんだろうか
「1日お世話になりました。」
「あぁまたいつでも来てくれ。婆ちゃんもよろこぶ!」
そして雫先輩の家を後にした。
俺は考えるのも面倒になり、とりあえず考えないでいよう。そう思い帰宅したのだ。
家に帰るや否やまたすぐに眠ってしまった
あの状態で休まる事も無理な話だ相当に気が張って疲れていたのだろう。
数日後、夏休みも残り僅かとなっていた
するとメールが入ってきた。森崎だ
《今日暇だったら夏祭り行かない?》
特に用事もあるはずが無い俺はなんとなく誰かと居たい気分だった。
《いいよ。》
待ち合わせは祭りのある場所の駅にした。
夕方、俺は駅に先に着き森崎を待つ。
こいつも友達が居ないんじゃなかろうか?
そんな心配も少しはしていた。
「おまたせ!相田っち。」
「おせーよ!」
森崎は浴衣の着付けで少し時間を食ってしまったらしい。
浴衣も正直似合っている。髪もいつもよりアップにし、女子レベルが少しは上がっていた。
「似合う??」
「まぁまぁだな。」
お世辞でも良いから褒めろと叱られた。
祭りを回り俺は意外にも楽しんだ。
それもそのはず祭りなんかを来たのはいつ振りだろう。
誰かと回るなんて初めての事だ
森崎は俺なんかと居て楽しいのだろうか?
むしろ恥ずかしくないのだろうか。
「りんご飴おいしそー!」
「買ってやるよ。今日誘ってくれたお礼。」
「やったーお言葉に甘えて!」
森崎は嬉しそうにりんご飴を食べた。
「はい、相田っちも食べて!」
やめろやめろ!これはいわゆる間接キッスというやつだろ!意識しちゃうじゃん。
と、思いつつ少しかじった。
「照れてる?」
少し顔を赤らめて俺は無視をする。
「ヤッホー!」
森崎は友人と出会ったみたいだった。
話の矛先は俺に向けられていた。
まぁそうでしょ。こんな冴えないのと居たら自然とそうなるのは目に見えている。
「うん!友達だよ!最近めっちゃ仲良くてりんご飴奢ってもらったし!」
友達?お前は俺の友達なのか?いつから?てか、恥ずかしくないの?
別にキモい奴とか影で言ってる風に言っても良いんだぜ?
「じゃーねー!ごめんごめん相田っち!彼氏?とか言われちゃって焦っちゃったし!あははは」
彼氏に間違われる程の男ではないから友人のお世辞だよそれはきっと。多分。
「そろそろ花火が上がるよ!見える所行こう!」
数分後、花火は空高く昇り弾けた。
花火を見ている時間は無心になれた
世界に俺1人なんじゃないかと思うくらいに見入っていた。
「キレイー!相田っちと見れて良かったよ!」
「そりゃどーも。」
そして、花火は終わった
花火の終わったときの無性に切なくなる感じは何故なんだろう。
「カップルで見るとどんななんだろうね?祭りってカップル多いしさ。」
「さぁーなー。お前告白ってされた事ある?」
「あるっちゃあるよ?中学の時かなぁ〜どうして?」
「俺、雫先輩に告られたんだよ。」
「え…」
「なんも言えなかったけどな!」
「ダメ…嫌…」
「え?」
森崎はそう言い俺の袖を掴んで離さなかった。
俺はまた混乱してしまった。