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初日からの失態

春、桜が舞い散る季節。


晴れて高校生になった。


そして今日は入学式だ。


見慣れない顔に着慣れていない制服。


新しい教室に新しい担任。どんな高校生活が待っているのだろう。


「えーでは、入学おめでとう。じゃあとりあえず自己紹介からしてもうおうか。出席番号順にな!えっと…相田翔太。君からだ。」


俺は相田翔太(あいだしょうた)と言う。

自己紹介のトップバッターだ。中学の時は友達なんて居ないただのボッチだ。


なんせ俺は割とひねくれている方だ。若干、中2も入っていて友達を作るのがダサいとか思っていた。

クラスの女子なんか全員俺の事が好きだと思って馴れ馴れしく接して居た

中二病という症状を知った時俺は愕然としたのを覚えている。

あの目は俺の事を好きではなく俺を変態とでも見ていたのだと…

それから友達を作ったりましてや恋愛になんて億劫になっていた。


ただ高校生活では友達を作り、普通の青春を味わいたいと意気込んでいた。第一印象は大切だ。

しかし、俺は今日とてもとても体調が悪かった。


「初めまして、相田です。う……」


俺は豪快なハイドロポンプをお披露目してやった。

響き渡る悲鳴軽蔑な眼差し地獄と化す教室、


絶大なるインパクトを残しただろう。


恥ずかしさ虚しさ切なさ絶望恐怖孤独。


俺は倒れてしまおうと決意した。


「倒れたぞ!みんな運べ!」


保健室に運ばれ俺は早退した。それから友達作りには貴重な1週間を俺は休んだ。


「嫌だー明日学校行きたくねーいっそ殺してくれー!」

俺はベッドでのたうち回った。


ある意味俺の初登校日の朝を迎えた。


「おはようございます。」

一応言っておく

向けられる視線、凍てつく氷のような冷ややかな目。

やっぱりね。そうだよね。いやいや、分かってて来ましたから。そんな教科書通りのリアクションはイイですから


ハイドロポンプ相田が今から教室を歩きますよ!


目覚めろ中学の頃の相田よ。混沌とした世界が今ここにあるぞ。さぁ!舞い降りろ!


俺は席に着き、ずっと窓の外を眺めていた。

一雫の綺麗な涙が溢れ落ちた。



午前の授業も終え、昼休憩。クラスでは席を引っ付けて仲良しグループでワイワイキャッキャしていた。

「リア充なんか爆発してしまえ。」


俺はトイレで弁当を食べる事にした。

いわゆる便所飯だ。

ハッキリ言ってさすがの俺も便所で食う飯は悲しいものがあった。


だがトイレの個室は落ち着いた。誰も居ない1人だけの空間。

「ここを我の拠点としよう。フハハハ」


時間の流れが遅い

授業も退屈だが授業しかする事が無いので勉強は真面目に受けていた。


事件はその時起きた。


プーー


騒つくクラス内、誰かが屁をこきやがった。

一瞬にして向けられる視線。


いやいや、俺じゃないから。まぁハイドロはかましましたけどね?流石にそんな連チャンでサプライズかましませんから。



「絶対相田だよ。」

「あのシレッとした顔」


犯人はお前だ!とばかりに仕立てあげられている。

ん?隣の女、顔真っ赤だぞ。なんかモジモジしているし。

はっはーん、犯人はお前か!!なんだっけ?森崎だったけ?まぁそーだよな。女の子が授業中にプゥッてそりゃなかなか恥ずかしい事だわ。


良いよ良いよ。もう俺がなんとかこの場を沈めてやるよ。感謝しろよ。


「あー屁が出た。腹の調子わりーんだわ。」


「やっぱりお前かよ」

「マジサイテートイレでしろよ」


一応、追い討ちを掛けるようにマヂで1発屁をかましてやった。


「普通もう1発するか!?頭おかしいぞあいつ!」


「こら!静かにしろ!授業続けるぞ。」



俺はもう、心地よくも感じていた。


すると隣から小さな手紙のような物が投げられてきた。そこには小さくありがとうと書いてあった。


律儀なことを。放っておけば良いのに

俺は人間腹が痛い事もあると送り返してやった。


授業も終わり俺はさっさと帰宅し始めた

この世で1番良い時間帯だ。解放される俺の心。


「ちょっと待って下さい。」

校門を出かけたその時、隣の席のオナラの女が声を掛けてきた。


「森崎?さんだっけなんか用?」


そう、俺は友達も居なければ女ともろくに話しをしたことがない。

過去の俺を除けば


彼女は森崎美沙(もりさきみさ)と言う名前らしい。


「あの、これあげます!」

「いや、いらないんだが。」


飴ちゃんを3個くれた

「お礼です!」


走ってどっか行ってしまった。

そうかこれは、助けたけど話とかは掛けないでくれって言う手切れ金のような物なのでは。


「くれなくても話なんか掛けないよ。」


一応貰っておくことにし1個頬張った。

「しょっぱっ!塩餡かよ。どんなセンスしてんだ。」


舐め続けていたら段々と美味しく思えてきた


「悪くない。」






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