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才能のない私は転生して…何をしようか。  作者: 暁 シグ
本編(?)
7/29

6.スライム再掲

私たちは、村を出て最初のモンスターと出会った。ハナが言うには、これは弱くそこそこの能力があれば倒せるという。

そうね、私も最初はそうだった。はっ…こんなのに勝てないわけないでしょ?そう思っていた。でも…


「殺されかけそうになったら、恐怖だよ…!」

「は?サチ、スライムに殺されそうになったの?」


目の前には、プルプルと揺れ動く気持ちの悪い物体__スライムがいた。

可愛らしくちょこんと座ってるつもりなのだろうが、私にはお前の魂胆は丸見えだからな!!


「じゃあ…ハナ、あとはまかせた…」

「…マジで何もできないんだ」


不安そうな目で見られた。

仕方ないでしょ!この世界、生まれた持った能力しか獲得できないんだから!くっそぉぉぉ…!


「じゃあ、そこで見ててね。邪魔しないでよ?」

「しないしない。はやく殺って。」


そう言いながら、ハナが相手に向かって何かを唱える。おぉ、魔法だ…!

スライムの体が少し赤くなる。その瞬間、破裂音と共にスライムが飛び散った。うおえ…。


「よし、これで進める」

「うわぁ…可哀想…。気持ち悪…。」

「そういうものだから。慣れないと。」


そう言われて、これからの旅が不安になってきた。あんなグロいのか…。そもそもさっきの魔法…。


「さっきの魔法って、なんか爆発的な感じ?」

「そうそう。魔法の知識ってどれくらいある?」

「ないない。魔法の知識なんて持ってたって使えないし。」

「じゃあ最初からか…。まず魔法っていうのは…。」


そう言って魔法について教えてくれた。


「最初から使えるものが限られてて、まだどんな魔法があるかは未知数なんだけど…。

私が使えるのは、爆発、水鉄砲、回復。この3つ。

魔法には、呪文があって唱えればすぐに発動する。ターゲットを定めてないと変な方向へ向くからそこは気を付けないとなんだけどね。

もちろん使うのにも制限があって、一日に何回か使うと唱えても何も起きなくなるの。寝るとなおるんだけど…。ちなみに私の上限は、30回。」

「へぇ…」


ハナは、そこそこの魔法が使えるのか…。勇者とかは、すべての魔法とかコンプリートしてそう。


「そう。魔法っていうのは、本当に生まれ持ったものしか使えないから最初からチート級の人もいるんだよね。もちろん暴走とかあるらしいけど…。」

「うわぁ…。じゃあ勇者とか絶対強いじゃん。」


はぁ…。本当に勇者って憧れる。そもそも勇者って言われるだけでそこらの宿に無料で泊めてもらえるのとかいいよね。全部、妄想だけど。

アンドレゴンの綱を握りしめながら深くため息をついた。


「サチって本当に__」

「ちょっと待て!」


ハナが何か言いかけようとしたその時、上の木から声がかかる。は!?誰!?


「お前ら、荷物全般置いていけ。さもないと、殺るぞ。」

「え…」


こ、これはもしや…。盗賊…!?そう思うとすぐに木の上から降りてきた。

すると、その後ろから他に三人出てきた。わぁお…。


「さっさとしろ!!」

「嫌よ!!!」

「…ハナァ!?」


ハナが大声で、そう断言する。マジかよ。大人四人に、子供が二人では無理があるんじゃない?


「…大丈夫よ。だって今、その牛の背中に荷物積んでるじゃん。そう簡単には、奪われないよ。」

「いや…確かに、そうだけど…。」


確かにね、今アンドレゴンの背中に全部の荷物あってアンドレゴンがしゃがまない限り届かないけれどね。

でも、さすがにそういう問題でもないと思う…。


「あの、ハナ…やめ__」

「じゃあ、力づくで奪ってやるよ!!」


ぎゃぁぁぁあ!!やる気満々で、近付いてきたよ!どうすんだよ!そんな目で、ハナを睨むと…


「…こっちは、魔法も使えるの。」


やる気満々かよ。

その手に持っている短剣、どこから出したの?あと、気づいてる?

…他の三人、こっちを狙ってるんだよ。それも殺意が沸いてる目で。…ねぇぇぇえ!!どうしてくれんだよぉぉぉお!

すると、ハナがこっちに何かを投げてきた。慌ててキャッチする。


「使って!予備の短剣!」

「あ、ありが__じゃねぇよ!!使えねえわ!!」


あっちはあっちでもう今にも接戦が始まりそうな感じなのに、こっちはジリジリと逃げてるんだよ。あぁぁ、もうどうすれば…。

そのときだった。アンドレゴンが鳴いたのは__


「アンドレゴン…!?何を…!そっちは…!?」


盗賊三人に向かって突進していくアンドレゴン。盗賊が逃げるより素早く、アンドレゴンの頭部が彼らにぶつかる。まるで、綿毛のようにふっとばされた彼らは落ちて__のびていた。


『え…?』


ハナと接戦していた盗賊とハナは、こちらを見て口を開けている。アンドレゴンは、鼻を鳴らしながら私のまわりをドッドッと歩いている。

綱を引いて、落ち着かせる。興奮するとよくないからね…。


「は…?ど、どうして…?え?」

「サ、サチ…。その牛…。」


二人とも驚愕の表情だ。いや、私もそうだよ。とりあえず…


「はやく茂みの方へ連れていって休ませた方がいいと思いますよ…?」

「え、は?いや…。あ、あぁ…。」


軽く混乱しているのか、盗賊の人は三人を引きずって茂みの方へ運んだ。

よし、今だ。


「ハナ、逃げよう…!」

「え…!?って、ちょ…!」


ハナの手を引っ張って、アンドレゴンに乗せる。私もそれに続いて乗る。

アンドレゴンは、大量の荷物を脇に乗せながらも私たちを軽々と運んでくれた。


『…』


軽く跳ねるアンドレゴンの背に乗りながら、私もハナもこの牛の未知の可能性を考えていた。

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