5.(´・∀・`)
「まさか…あんな簡単に許されるとは…。」
「それな。」
ハナと夕飯を食べ終えたあと、私の部屋でさっきのことについて話していた。お母さん、ぱねぇ。
「それで、いつ出る?」
「今すぐ出たいとこだけれど…。」
荷物とか準備必要だもんなぁ…。ゲームなら、旅に出よう!って言った三秒後くらいにはもう村から姿消してるから…。二次元って本当に楽だよな…。
「とりあえず、準備………なに持ってけばいいの?」
「はぁ…まず衣類でしょ。次に、必要ならタオルか毛布。あ、お金は必須。それに……」
ため息…。…ハナを睨むと睨み返されたので、顔を背けた。こわ…。それにしても荷物…たくさんあるな…。
「これ、本当に持っていくの…?多くね…?」
「当たり前でしょ?そんなやさしいもんだと思うな?」
「……」
大量の荷物とハナに挟まれ、震えた。
次の日、大量の荷物を持っていくのかとがっかりして起きたのだがアンドレゴンの世話をして気づいた。乗せられると…。荷物を…持たなくていいのだと…。
「ハナ…あるよ。荷物を持たなくていい方法…!」
「ふーん」
「つめた…」
空返事をされた。ひどい。
ちえっ…、アンドレゴンに乗せれば楽だと気づいたのに…。誰も聞いてくれないと悲しい。
「準備できた?もういくんでしょ?」
「できてるー」
「できてます。ありがとうございました。」
お母さんが来て、心配そうに聞いてきた。やっぱね、そりゃ大事な娘ですものね。
「サチコ、大丈夫?迷惑かけないようにね?お願いします、ハナさん…」
「かけないよ」
「大丈夫です。安心してください」
「否定して?ね、否定しよ?」
かなり失礼な会話をされたあとにお母さんから大きい包みを渡される。なにこれ?
「お弁当、二人で食べてね」
「おぉ!ありがとう」
「あ、ありがとうございます」
お弁当もアンドレゴンに積む。よし、もう持っていくものないな。ハナも荷物を整え、村から一番近い町に続く道に行く。すると、そこへ
「サチコちゃん~!」
「え、あ、ミロル!」
友達のミロルが走ってやってくる。ふわふわ系の女子で、そこらへんの男が連れそうな顔をして__やめとこ、十一の奴が言うことじゃない。逆に吊られそう。
「急に旅へ行くっていうんだもん!びっくりしたよ。」
「ごめんごめん、それでどうしたの?」
「しばらく会えないでしょ?学校にも来れないし…」
そりゃ旅しながら学校行って、勉強とか辛いな。
そういえば、昨日初めてお母さんに言われて知ったけど、学校って強制ではなかったんだよ。義務教育に慣れすぎたかな。だから、旅へ出てもそんなに大事にはならないらしい。そもそも転生前の記憶があるからそこそこの知識量は、あるはずだ。…はずだ。
ミロルは、持っていたものを私に手渡した。
「これ、お守り…。気をつけてね…。」
「おー、ありがと。すごいね、裁縫うますぎ。」
「ううん、じゃあ学校あるからまたね。」
ミロルは、そういって学校の方角へ向かっていった。くまができていた。徹夜で作ったのかな。可愛い。癒し。
「…あ、あの子…こわい……」
「えぇ?なんで?」
「いや、だって…」
少し震えぎみにハナが話す。そんな姿もちょっと威圧を感じるところ、さすが姉さん。
「最後、こっち睨みつけてたから…あれは、絶対に嫉妬とか執着……」
「あー、あの子執着強いからね。…敵にまわしたら勝てな~い」
ハナがすごく引いた目で見てくる。私じゃなくてミロルにそれやって。
そんなこんなで、私たちは旅立った。