3:sa sa re yo !!
刺されよ!!(訳)
「カルフィは、魔力持ちで騎士になったわしの専属の馬だった。話していくうちに、どんどん仲良くなった。
騎士を辞めて、これから細々と暮らしていこうとした時も一緒に来てくれたんじゃ。
ある日のことじゃ。
騎士を辞めたといっても、仕事の依頼とかはあってのう。ダマからの帰りの途中で泉があって、まあ、いわゆる休憩所のようなものだったんじゃよ。
だから、近くの木にカルフィの縄をくくりつけて休んでいたんじゃ。
わしは、そのときそこにいた旅人と意気投合して話をしていたんじゃ。
そのときだった。
どこからか、バリッという咀嚼音が聞こえてきた。その音の発生源をキョロキョロと探していると、あることに気づいた。
カルフィがいなくなっていた。
慌てて、探した。
カルフィは、魔力持ちじゃ。それも、一番頭の良い三段階目のな。
例え木に縄をくくりつけてもほどいたり引きちぎることは可能だろう。
ただなぜ急に消えたのだろうと、思ってな。そして、見つけたのだ。あやつをっ…!」
ぎゅっと握るその拳は、本当に悔しそうに震えていた。
「口のまわりを真っ赤にして、佇む悪魔が…。その近くに鞍が落ちていた。それは、間違いなくカルフィのもので…それも血塗れだったのじゃ…。
…許せなかった。
こんな、邪悪な悪魔に…相棒を殺されたのが…!
それも、残虐なやり方で…!
痛かっただろうに__」
「__違うよ」
そのとき、パタパタと羽音が近づいてくるのが聞こえた。
振り替えると、トウマが宙に浮かびながら私たちを見下ろしていた。その目は、前髪に隠れてよく見えなかった。
「違う。痛くなんてない。」
「そんなことあるはずがないだろう!?食べられたのだ…!生きたまま…!」
イージョさんが、剣を上に振りかざしてトウマを睨み付けた。
…その剣がギリギリ私の前髪をかすめた。……し、死ぬかと思った…。
「…俺の牙は、特殊だよ。一回その体にさしてしまえば、すぐに眠りに落ちる。」
「それでも…お前がやった罪は消えない…!」
やっと見えたその目は、悲しく黒ずんでいた。
「…そうだね…。
…でも、食べてって言ったのはあの馬からだよ。」
その場が静まりかえる。
イージョさんが放心したように、剣を落とした。
…ぎゃぁぁぁあ!!すぐ横に…!剣が…!ぶっ刺さってる…!
「ど、どういうことだ…?」
確かに意味分からないけど、手から剣を放すなよ!!
イージョさんは、理解の進まない顔で宙を見上げていた。
トウマは、変わらずそこに浮いていた。
「…あのあと、すぐに事情を説明しようとしたよ。でも、おじいさんは俺を殺そうと必死になってたから俺も必死に逃げた。
…だから今、弁解させてよ。」
イージョさんが真剣な眼差しで、トウマを見ていた。そして、
「いいじゃろう…。」
それだけ言って、イージョさんはもとの場所に座った。
そっと、剣を引き抜く。
そして、そっと置く。
この剣のせいで眠くならずに済みましたよ。
そんな思いを込め、イージョさんに向かって柄の方を勢いよくスライドさせる。
刺され!!
「おぉ、ありがとな。」
ちっ…。効かなかったか…。




