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才能のない私は転生して…何をしようか。  作者: 暁 シグ
本編(?)
19/29

18.話し合い〈ハナ〉

「私は、いわゆる陽キャ__まあ、友達とか家族とかにも恵まれてた。だから普通に毎日が楽しかった。


でもある日、両親が喧嘩しているのを見た日から全部変わっていった。

次の日、親が喧嘩してるのを見るとなんだか気まずくなるっていうのを幼なじみに話したの。

そのとき、一番家族の話をしやすかったのは私を小さいときから知ってるその子しかいないなって思って。


話を聞いた幼なじみは、

“大丈夫だよ、すぐに元に戻るよ”

って。

私もただ相談してすっきりしたかっただけだったから

“そうだね”

なんて、相槌打ったりなんかしてた。


それで、そのときに丁度転入生が来て私の隣だったから色々話してた。その子が1人にならないように。

いつか、他の子との方が仲良くなるんだろうなぁ…なんて簡単に思ってて。


でも、3日くらいたってその子は私にべたべたしてきた。最初は、こういう子もいるよねとか思って普通に受け流してたんだけど…一週間たってもその子はくっついてきた。それも、一週間前よりもずっと気持ち悪いほどに……。


だから私は、その子に

“そんなにべたべたされると、ちょっと辛いかな…”

って、笑いながら言ってみた。だって、その子を傷つけてまでいろいろ言いたくなかったから。そしたら


“えぇ…。私は、ハナちゃんともっと仲良くなりたいのに…。”


って言われた。その子の目は、媚びを売ってるような感じで心の底から離れたいって思った。


その子は次の日もずっとべたべた触ってきそうな雰囲気だったから逃げるように私は他の友達と積極的に居た。

そしたら、

“ねぇ…、ハナちゃん…。…私のこと避けてる?”

って聞かれた。私は、いじめとか言い争いとか…本当にそういうのめんどくさいって思ってたから

“ううん、昨日までくっつきすぎてただけじゃない?”

なんて冗談めかして言ったからダメだった。


その子は、それをなんとも思わないでまたくっついてきた。もう本当に嫌で嫌で__


そんなとき、部活の先輩に仕事を頼まれた_というか、押し付けられたことがあった。

自分でやれよっていう内容だったけど先輩だからそれは言えなかった。

だけど…そのときの先輩を見て、なぜかゾッとした。

先輩にそういうつもりはないはずなのに頼みごとをするときの声とか仕草とか__そういうのが全部媚びを売ってるような気がしてきた。


それから、普通に仲が良かった友達とかにトイレ一緒に行こうなんて誘われるのもなんだか変な気がしてきて…。

それさえ、媚びを売られているような気がした。女子だから、それくらいのことあってもいいはずなのに…。


その日から何で、

“人に頼らないと生きていけないの?”

って疑問を持つようになった。

別に頼ったってなにも不思議なんてないのにって今は思える。


先生に何かを頼まれるときも、

友達と話しているときも、

特に__


その子が一緒にいるときは、


気持ち悪いって、思い出した…。


媚びを売られてるような、

何でそんなことをする必要があるのかとか、なんかもう気持ち悪くてたまらなかった。


そのことを、幼なじみに相談した。そしたら、幼なじみは困ったように眉を下げて

“でも…人ってそういうものだし…。それに、今ハナがこうやって相談してることも頼ってると同じなんじゃないかな?”

_幼なじみは、だから気持ち悪く思うことじゃないって言いたかったんだと思う。


…でも…私は、それで自分もそうだったって気付いたことがすごく辛かった。

家について、親に呼び止められても構わずに自分の部屋にかけこんで…

もう、そこで死にたくなった。


自分がそんな気持ち悪いと思ってた人たちと同じで、

そして、そんな人たちを気持ち悪いと思ってる自分も__


_嫌だった。


他人を、そんな風に思う自分がいるってことが嫌悪感でいっぱいにさせた。


それから、私はまわりを全部そういう目でしか見れなくなった。本当に嫌で嫌で仕方がなかったけどどうすることもできなくて…。

人に頼ることを、媚びを売ってるみたいに思って気持ち悪いって感じる日が何日か続いて…。


でも、ある日…母が悲しそうな顔をして話しかけてきた。

“お父さんとお母さん…離婚するの…”

って。私、そのとき

“何で、はやく言ってくれなかったの…!?”

って。喧嘩してたのは、分かってたけどそこまでになってるなんて知らなくて…。


自分がのけものにされた感じで、悲しかった。でも__

___違った。


“だって、ハナ…。最近、すぐに自分の部屋に行くようになってて…。疲れてるのかなって思ったら言えなかったのよ…。”

そう言って、涙ぐむ母をただ茫然と見つめてた。


私がしっかり話を聞いてたら、何か変わってたのかもしれない…。

そのときばかりは、頼られなかった状況を生み出したことを後悔してた…。






__はずだった。



母が私を上目遣いで見てこう言うときまでは…

“ハナ…。お父さんは、もう出ていった……。でも、ハナはお母さんのこと置いていかないよね…?”

そのときの嫌悪感は、背筋がゾッとするなんてものじゃなかった。

いつもしっかりしてて、自分が主導権を握っているという雰囲気を漂わせていた母がそうやって、


私を_

私だけを__


頼って、懇願してる姿が余計に


__気持ち悪い


って思った。


もう私は、人に頼る__媚びを売られる…ってことが本当に無理になってて…。

人に頼ることと媚びを売ることが同じものに見えてたから…

学校でも家でもそんな気持ちで生きるのは本当に苦しくなった。


はやく…はやく自立して、自分だけで生きていきたいって何度も思った。


でも、もう__

私には、生きていける力がなかった。


もう我慢ができなくなって家の2階から__自分の部屋から飛び降りた。



心残りは、あったけど…それでもやっぱり死ぬってことが一番の救いだった。」



ぎゅっと両手を握りながら俯いている様子は、名残惜しさが滲み出ていた。

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