15.話し合い〈始〉
「淫魔っていうのは…。まあ、簡単にいうと…誘惑してするみたいな…。」
「つまりは、セフ__」
「やめろ。自主規制しろ。」
私が、約そうとした言葉をハナに止められた。簡単にしただけなのに…。
あ、知らない子は知らないままでいいんだよー。
「でも、淫魔って、その、異性とするから淫魔っていうんでしょ?」
ハナが恥ずかしそうに、聞いていた。乙女だなー。
「そうなんだけど…。まあ、これには深い訳が__」
「待って待って。そこから先は、話し合いの内容にしてもらいたい。」
神様に止められた。紙が宙を漂って、私達の間に入ってきた。
「…そもそも話し合いの議題って何ですか?」
「そう。それなんだよ。」
トウマがそれを聞く。話を遮られて、苛立っているようだ。
可愛いなぁ…。
「話し合い…僕は、君たちには死ぬまでに至った経緯。そして、そのときの気持ちと今の気持ちを教えてほしい。それについて、同年代の君たちの意見も言って欲しいんだ。」
うわ…。こいつ…。人の痛いところを…。
ハナもトウマも同じことを思ったんだろう。しばらく黙っていた。すると、
「そんなことしたって、私達にとっては意味がない…。」
ハナがギッと睨んだ。本当に、それを語るのが嫌なんだ…。
でも、今度は神様は落ち着いた声で
「じゃあ、逆にそれを奥深くにしまって思い出さないでいいと、本当に思ってるの?
それなら、仕方ないから無理強いはしないつもりだけどね。」
「…っ」
最後の言い方は、ひどい気もする。でも、それは本当にそのままの意味を含んでいる。
ハナがぐっと押し黙った。
はぁ~…。なんか全部見透かされてる感じだなぁ…。すると、
「…じゃあ、分かりましたよ。俺から話しますよ。」
「お、やる気になった?」
トウマがふっと笑って、伸びをした。どこか諦めたような、それでいてちょっと面白そうな雰囲気が滲み出ている。
え、なんかすごいムーディなんだけど…!
「え!?そんなことしたら_」
「何?俺は、過去にしたいから話すんだ。そうしないと、ずっとそれを引きずったままな気がするからね。それは、嫌だ。」
ハナが驚いてトウマの方を振り返った。ぶんぶんと首を振っている。
確かに、1人が了承したら全員が話す雰囲気になるからね…。
…私も嫌だけど、諦めは肝心だよね…。
ハナにも同意を求めるため肩に手を置いた。
「ハナ…。諦め__」
「…サチは、そうやって諦められるかもしれないけど…私は、そんな簡単に受け入れろなんて他人に言われたくない…。」
ハナが俯きながら、本当に嫌だと言う。どうしよう…と思っていると
「…別にいいんだよ。話さなくてもいいって、無理強いはしないと言っただろう?
それに、二人が話してくれるならまだいい方だからね。」
ニコッと笑った気がした。
……紙だから分からないけど。
「…分かった。私は、話さない…。」
「うんうん、じゃあ君からどうぞ。」
ハナが落ち着きを取り戻して、そう言う。そんなに嫌々というものなら聞いてみたい気もするけど…。確かに無理強いは良くないよな…。
紙がトウマの方を向いた。
それを待っていたかのように、トウマがじゃあ…と言う。
「俺の話は、ちょっと辛いとか苦しい表現があるからね。嫌なら、耳でも塞いでて。」
そう嗤って、話始めた。
自嘲するかのように…。
読んでいただきありがとうございます。
〈始〉ってあったのに、ただただ始まりの部分という……詐欺です。




