14.新米だあ
「実は、僕の直属の上司が地球を担当していて…この世界は、僕の世界なんだ。」
「質問です。地球を担当って、地球を作った方ということですか?」
「そうそう。」
「なら、もっと分かりやすく言ってください。」
「ご、ごめんね……?」
ハナがそう真顔で言う。
内心面白がってそう…。
「えっと、神様は経験値がたまったら自分の世界を作ることになってるんだ。
そして、経験をためるには別の神様の世界の手伝いをしてやり方とか作り方とかそういうのを諸々教えてもらってから自分の世界を作るんだ。
もちろん、作ったあとも不安とか問題とか起きたら困るから上司には教えてもらうんだけど…。」
へへっ…と照れるように笑う声が聞こえた。まだ自分も同じという感じが伝わってくる。
…あれ?一瞬萌えたぞ。
「僕もこの世界を作ったのは、つい最近で…。あ、最近っていっても僕と君たちの時間の流れ方は違うんだけどね。
まあ、それで僕はまだ上司に教えてもらいながらやってるんだけど…。たまに、上司の世界__地球で手伝いとかもさせられてて…。
そのときに自殺をして死んだ子達を見て何で死ぬんだろうなって思ったんだ。それで上司に聞いたら逆に”どうしてだと思う?“って聞かれて。
まあ、それで気になったから上司にも許可とってこうやって君たちを転生させて、会わせて話し合いをしてもらおうと思ったんだけど…。ほら、僕の世界って魔法とかありだから通じるんじゃないかなって思ったんだ。」
言葉を選びながら話してる様子だった。
最初のハナの言葉が引っ掛かってるんだろうな…。
「いくつか質問してもいいですか?」
「うん、いいよー。」
ハナがそう言う。
確かに、私も聞きたいことがある。
何で才能ないの!?
「まず私が転生する前に、ポエムって嘘をついたのは何でなんですか?」
「あー、それは…。」
あぁ、そういえばポエムを探してるって言ってたな…。
確かに、最初からその手紙を探せ、とかこの二人を探せ、とか言えばいいから…。
「実は…地球からの転生って君たちが最初って訳じゃなくて…。勇者とか、そういう人が転生者になったこともあって…。
そのとき、その人たちの旅が楽しそうだったから…君たちもそうした方がいいかなって思ったんだよ。
だから、ああいう嘘をついて…何て言うんだろう…アドベンチャーみたいな?なんかそういう気分にさせたかったんだよ。」
旅っていうほどのものでもなかったけどな。でもちょっとわくわくはしたかも…。
「じゃあ、二つ目です。私は、5年間その紙を探しました。14歳から情報収集をしていたんですが…。紙が落ちてきたのって……」
「うん、3週間前だね。」
「………」
ハナから静かな怒りが沸いている気がする。
今、目合わせないようにしよ…。
「いや、ち、違うんだよ…!手紙の内容とかどこに落とすとか決めてたら時間かかっちゃって…!あと、落ちる時間も考えたら割と最近に…なって………しまいました、ごめんなさい。」
あーあ……。だから、目を合わせたらダメなんだよ…。(紙通してるからどこが目か分かんないけど…。)最終的には、ハナの目力に負けるんだから…。
ハナがニコニコ(?)しているので、それを遮るように私が質問した。
「あ、じゃあ…何で私には才能とか…そういうの…なかったんですか…?」
「あぁ、そういう子だなって思ったから。」
「殺すぞ」
「え、こわ」
もう魂からして、才能ないねっていわれたようなもんじゃねえか!!許さない許さない許さない…。
あ、でも…
「その紙の内容が読めたけど…トウマとかハナは読めなかったですよ。」
「あぁ、それはね…。僕、すっかり忘れてて…神様の文字で書いちゃって普通の人間には読めなかったんだよねー。
だから、あわてて手紙を通して君に神様の文字を“一時的”に読めるようにしたんだ。」
「一時的…?」
「うん、明日にはもう読めないよ。」
「引き裂いていいですか?」
「ま、待って…!まだ話し合いしてない…!」
…もういいし…。アンドレゴン…、いるし…。
そう思って、アンドレゴンを繋いでいる木に目をやると
「ト、トウマ…!?何してんの…!?」
「え?だって、お腹すいちゃったんだもん。」
「だからって、アンドレゴン食べようとしないで…!?それも、そのまま…!!」
トウマがアンドレゴンに牙を向けていた。
せめて、焼こう…?いや、焼いてもダメだけど…。
「えー、だって俺淫魔だし…。あ、淫魔っていっても牛と馬しか食べれないんだけどねー。」
「え?淫魔…?」
「ん?知らなかったの?」
ハナと目を合わせる。二人して、ポカンとしているのが分かる。
淫魔って…………………
……なんだ?
読んでいただきありがとうございます。
詰めこみ過ぎてごめんなさい。




