10.縄の提供をお待ちしています。
皆様、暖かな季節になりまして…。
ん?待て、季節…?
あれ?この世界、季節なんてあった?
え?
…確かに、涼しいとか暖かいとかは思ったことあるけど…
……
こんな時には、隣の人に聞くのが一番!
前の世界でも、分からないことがあったら大人に聞きましょう!って言ってたからね!
…そんなこと言って、大人も分からなかったら逃げて、それが恥ずかしいからいろいろと濁すんだけど…。
まあそんなことを思い、聞いてみた。突撃!隣の…夕ごはっ…!!
「季節?この世界に、そんなのないよ。」
「え!?マジか。でもたまに涼しいな…みたいなことはあるけど…。」
「あぁ、それは…。」
そう言って、分かりやすく教えてくれた。
この世界に、季節はないけど気温が下がる時と上がる時がある。でも、少しの差なのでそんなに変わらないとか。
「季節という概念すらないなんてこの世界案外便利だよねー。というかなんで今聞いてきたの?」
「いや、だって…。」
そう言って前を見る。道の果てが見えない延々と続く山道を見上げる。
そして思い切り、息を吸い込んで…
「暇ぁぁぁぁぁあ!!疲れたぁぁぁぁあ!!」
「…うわっ、うるさ…。」
ハナの方を見て言う。
「だって、南西の山に行くにはここの丘越えないと行けないってどんだけ遠いの!?
というか、そんな遠くまで見えた紙なんて絶対普通じゃない!!」
「普通じゃない紙を探してんだよ。」
疲れたし、ただただ暇だし…。もう死ぬ…。
「ねぇ…アンドレゴンに乗ろうよぉ…。」
「そんなんだから、ダメなんだよ。旅っていうのは…」
「アンドレゴン、おすわり」
「聞けよ!!」
アンドレゴンを屈めさせ、その上に乗る。そして、ハナに向かって手招きした。
「たまには、楽しないと。」
「…っお前は、楽しすぎなの…。」
渋々といった感じで乗る。あー、よかった。ハナって、案外自分追い込んじゃうから乗らなかったらどうしようかと思った。…もちろん、自分だけ乗るんですけど。
アンドレゴンを走らせる。最初から乗っていたらよかったと思うほどのスピードだ。
「本当に魔力持ちって、すごいよね…。」
「そうだねえ…。」
感心したように言うハナに、ぽかぽかとした日差しを浴びて眠くなる。あぁ…揺れもちょうどいい。
ほとんどの荷物をイージョさんの家に置かせてもらっている。
もちろん、悪魔が出るとか言われたから必要なものはしっかり持ってきているけど。
私は、そんな大事なものないから1枚のハンカチだけだけど…まあ、女子力があるとでも思って。いや、思え。
「荷物がないからアンドレゴンも走りやすいんだよねぇ。」
「ねぇ…さっきから、アンドレゴンって…呼んでるけど…。この牛そんな怪獣みたいな名前なの…?」
ハナが信じがたいような感じで聞いてきた。え、こいつ知らなかったの…?
「え、そうだけど…。知らなかったの…?」
「え、だって特に…聞かされてないし…。」
「え、あ、じゃあアンドレゴンがメスなのも知らない…?」
「え、うそ…。なんでそんな名前つけたの…。」
「え…。」
「え…。」
なんともいえない時間が流れた。お互いの新事実(?)に無表情になる。
…なんもいえねぇ…。
そんなこんなで南西の山の頂上についた。一瞬でついたと思っているかもしれないが2時間かかってるから。そんな柔だと思わないで?アンドレゴンに感謝しよ?
まあ、とにかく今の状況を伝えよう。目の前には大きい洞穴。
中は、暗くてよく見えないけれど見える範囲では…
暖炉がある。
それも、かなり綺麗。
あ、フライパンある…。あ、壁に小さな燭台もある…。
ハナと目を合わせる。なんとなく小声で
「呼びかけてみる…?人住んでそうだよ…?」
「え、でも…悪魔とかでしょ?どうせ…。今、いなさそうだし…こっそり紙、探せばいいでしょ。」
確かに、そうかも。納得したので、なんとなく抜き足差し足で中に入ろうとしていると…
「あ!人間!久しぶりに見たなぁ!」
『え……。』
悪寒が走る。
ハナと一緒に、後ろをゆっくり振り替える。
「そんなに、可愛くないねぇ…。」
『……。』
……
…ぜってえ、こいつ首絞めてやる。
読んでいただきありがとうございます。
筆、遅いなあ。




