番外編、春
これは番外編で復讐を誓う前のアルドの話です。
つまり国が滅ぼされる前のお話です。
あ、あれ?おかしいな春なのにそれっぽいの最期の一部分だけ.....?お許しください。
俺はこの国、アルセリト王国の第一王子である、アルド=シル=アルセリトだ。
そして今年も春がやってきた。
この国は戦争をほとんど経験したことがない。なぜならこの国は辺境の地にあり、国土も他の国と比べるとアリの如く小さい。
だけど、この国は平和だ。平和な国はこの時代にいくつほどあるだろう? 確かにいくつかは平和な国があるだろうが、その中でも一番平和で楽しい国と言えば誰でもアルセリト王国、と言うだろう。
なぜなら......
そう思いながら俺は自分の部屋の窓を開けた。
「おおー! アルド王子だぞ!」
「本当か!? 何処だ!..........おおー!本当だー!」
「「「アルド王子バンザーイ! バンザーイ!」」」
こんなにも仲良く、明るく王族までもが国民と仲良くしている国なのだから。
俺は国民たちに手を振りながら、また自分の机に戻った。
「さーて、また仕事を始めるか」
バンッ!
「兄様! 今日は一緒に出かけると言ったではありませんか! 」
そんな時、俺の部屋のドアを開けて入ってきたのは俺の最愛の妹、セリア=エル.アルセリトだった。
「セリア、ドアは静かに開けるんだ。はしたないぞ。それにノックぐらいしないと」
「コホン......でも、兄様は今、私との約束を忘れてまた仕事をしようとしていましたよね?」
目の前にいるセリアからジトーッとした視線が送られてきて自然と視線が泳いでしまう。
「い、いや、これにはわけがあってだな...」
「ほお、妹との約束を忘れるほどのわけがあったんですね? 是非お聞かせください、兄様?」
あ、あれ? おかしいなセリアは可愛く笑っている筈なのに後ろに鎌を構えた死神が......
バンッ!
「ヒッ!」
「是非お聞かせください。に、い、さ、ま?」
「いや、あの机を叩くのはだな.....ヒィ!? わかった! 言うから! だから俺の髪の毛を抜こうとするなあ!! 」
「分かっていただけたようで何よりです」
おかしい。なんであの可愛かった妹がこんなにも怖くなっているのだろう。いや、もちろん今も可愛いんだけど...
「はあ、あのな? あれはこの山のように積み重ねられている書類を整理しないといけないんだ。それにこれをしないと国民たちが困るんだぞ? いいのか? だから、今日は出かけることはできない」
「兄様はいつもそれです。いつもそうやって部屋にこもって仕事ばかりして私との約束を守ってくれないんです! ...バカ兄!そんなのだから未だに婚約者が決まらないんですよ!!もういいです!」
ドスン!
俺の心に特大の矢が刺さった。
妹が出て行った後も立ち直れず。しばらく立ち尽くす......いや、座り尽くしていた俺だった。
「はあ、仕方がない今日ぐらいは妹と出かけるとするか」
そう呟いて俺はセリアの部屋に向かった。
なぜなら、小さい頃からセリアは拗ねると自分の部屋で鍵をかけて閉じこもっていたからだ。
コンコン、
「セリアいるかー?」
「嫌いな兄様なんて知りません!」
「グハッ!」
き、嫌いな......俺、嫌われてたのか? そんな.....ああ、もう生きている意味なんてない。妹に嫌われて生きられるはずがない。
「......セリア、分かった。一緒に出かけよう。な? だから、ほら。俺のことは嫌いにならないでほしい。今日だったら何処にでも連れて行ってあげるから。」
「本当ですか...?」
「あ、ああ! ほら俺だったら何処にでも連れて行ってあげよう!」
俺は信じてもらおうと大声で言った。だがそんな俺に妹がかけてきた言葉は......
「ほとんど外に出たことがない兄様が私を連れて行ってくれることができるのですか?」
「グハァ!?」
バタンッ
俺を即死させるに足る言葉の矢だった。
「王子様ぁぁあ!?」
そんな倒れている俺に誰かが駆け寄ってきた。
「お、お前は執事のアク、か......セリアを頼、んだ.....ガクッ」
「王子様ぁぁぁあ!!!!!」
「はあ、兄様が起きてくれないと本当に嫌いになります」
「はい! ただいま地獄の門をノックしてから鬼にメンチ切ってすぐやってまいりました! では行くか! セリア!」
「言われなくても分かっています。それにアクもいちいちこの人に付き合わなくてもいいのですよ?」
おいおいおい、何を言ってるんだマイ、プリティシスターよ。本当に兄様は死にかけたんだぞ?
「そうですね。もう付き合うのはやめとくことにします」
「おい!? 嘘だ!誰か冗談だと言ってくれぇぇえ!」
「「冗談です」」
「........そうか」
なんていうこともあったが結局お花見に行くことになった。
「兄様!見てください、あの木!ピンク色です!とても綺麗です!!」
「あ、ああ。そうだな」
俺は若干その勢いに引きつつも思った。やっぱり妹かわいい。一応言っておくが性的な意味ではないぞ?
ピンク色の花びらが舞い散る中、セリアはこっちに振り向いて満面の笑みで走ってきて俺に抱きついてきた。
........そして俺の脳内は緊急停止した。しかし、
「お兄ちゃん大好き!」
さらなる次の爆弾で鼻から赤い花火を出しながら倒れることになったのは当然のことなのである。
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