スライムとの死闘
「ふぅ、落ち着け、俺。」
俺は今、生きていると言うことに対する嬉しさを感じていたがそれと同時に怒りも感じていた。なぜ、みんな俺の為に死んだのに俺だけが生きている? と、ずっと頭の中で整理のつかないままよくわからない感情に流されていた。
「まぁ、いい。せっかく生きながらえたんだ。このチャンスを無駄にしないようにしないとな。アイツらの為にも....」
しかし、俺が目覚めてからもう1時間ほどたったのだろうか? よくわからない。なぜなら、ここには一切光が入ってこない為、時間感覚が狂うのだ。
「それよりも、まずは俺のステータス確認が必要だな」
ステータスとは、一言で言うと人の能力を数値化したものである。つまり人の強さを表したものだ。
「ステータス開示」
不死者 アルド 14歳 lv.1
攻撃 1
魔力 2
防御 1
俊敏 1
幸運 100
スキル 魔物変換 千里眼 魔力制御 魔法の心得 武器創造
固有スキル 復讐者 不死
称号 亡国の王子 復讐者 不死者 魔物 愚者
加護 邪神の加護
復讐者 (敵と認識したものを殺すと全ステータスの3分の2が手に入る)
不死 (物理攻撃を受けても死ぬことはない。魔法攻撃も光魔法以外で死ぬことはない。再生する)
魔物変換 (殺した相手の体の一部を自分の体として扱うことができる)
「弱いな」
俺の口から出た言葉はその一言だけだった。
「ちっ、幸運を除いて全ステータス約1はないだろ。そんなの赤ちゃんレベルだぞ..」
しかしまぁ、スキル自体はなかなか強いものが多い。俺の中では魔物になってしまったことはどうでもいい。ただ、アイツらを殺すための力が足りない。
さらにそこに全ステータスが赤ちゃん並みという悲惨な結果が出た。
「こんなんじゃ、アイツらを殺すことができないじゃないか、しかもここは人類未踏の地ときた。さてと、本当にどうするかねぇ。」
しかし、こんなところでくよくよしていても仕方がない。
この世界にはレベルという概念がある。
俺は戦闘において一番重要な数値であり、その者の強さがあらわされでいる。つまり、俺が言いたいことがわかったのではないだろうか。
弱すぎる、と。
「はぁ...しかたない。魔物を殺しに行くしかないか」
「狙うべきはやはり、スライムあたりだろうな」
確かあの魔物は物理耐性を持っていたはずだ。しかもとびきり強いやつを。ならば俺のスキル、魔物変換と相性が抜群のはずだ
そうとなれば殺すしかない。
「しかしこのステータスでどう戦えばいいのやら」
スライムのステータスは平均3らしいからな。
いや、まてよ?落とし穴を作ってその底に棘を作ればいいじゃないか。
じゃ、早速作っていきますか。
ザクッ....ザクッ....
「ふぅ、........2回掘っただけでこの疲れようはやばい」
くそ!地道に頑張るしかないか。
約3時間後 (正確な時間がわからない)
「ふぅ、やっとできたぁぁ! 早速ここに武器を創って縦向きに置くとするか。」
よし! 完成! ちなみに武器は短い槍にしておいた。
じゃ、探しに行くとしよう
俺は慎重に本当に慎重にスライムを探し始めた。何故って? 決まっているじゃないか。見つかれば即死ぬ。いくら不死といっても殺し方は様々あるのだから。普通には殺せないだけなのだ。例えば、失った肉体を再生するには魔力を必要とする。つまり魔力が無くなってしまうと再生することができないのだ。そして大体の不死者は魔力が少ない。だからこそ不死者は最弱の魔物とされている。
そんなことを考えていると向こう側にスライムらしきシルエットが見えた。
暗いのでよく見えないが間違いない、あれはスライムだ
俺は矢をスライムに向かって投げた。それは弧を描きながらスライムに直撃した。
「よしっ。さぁこっちに来いスライム!」
案の上スライムは怒りながら? こっちに向かってきた
そしてそのまま俺に攻撃をしようとした瞬間姿が消えた。俺の作った落とし穴に落ちたのだ。
「さて、殺すことはできたかな?」
そう思い、覗くといきなり中から液が飛んできた。そして、それは岩にあたり、岩を溶かした。
俺はその光景を見て冷や汗をかいた。
「おいおい、それはないだろ.....まさかアイツがポイズンスライムだったとは......ちっ、それでもやるしかないか....うぉぉお! やったろじゃねぇかああ!!!」
そう叫んで俺は中に武器を創造しまくり攻撃し続けた。
そして永遠にも感じられた戦いの末
ピロリン
そんな非現実な音が戦闘終了を告げた
「ふぅふぅ、やっと倒せた....さてステータスはどうなっているかな?
ステータス開示」
不死者 アルド 14歳 lv.1
攻撃 3
魔力 4
防御 4
俊敏 2
幸運 102
スキル 魔物変換 千里眼 魔力制御 魔法の心得 武器創造
固有スキル 復讐者 不死
称号 亡国の王子 復讐者 不死者 魔物 愚者
加護 邪神の加護
「うしっ、ステータスが上がってる。....あれ?スライムの物理耐性はどこにあるんだ?んー?ま、試したらわかるか」
俺はスライムを思い浮かべながら右手にスキルを使った。すると
「うぉ! すげぇ、俺の腕がスライムに変わってる! ....これで復讐に一歩近づいたな。」
俺はそのことがただただ嬉しかった。