滅亡
初心者ですので長い目で見ていただけると幸いです。
俺は王子だった。それは大国から見ればまるでアリのように小さい国だったが、とてもとても平和な国だった......
そう、だからこそ、あの帝国がこんなにも平和な国に攻め込んでくるとは誰も夢にも思わなかった。
あの時までは..........
「あぁ! 嫌だっ誰か助けてくれっ!!!」
ゆらゆらと真っ赤に燃え上がるのは俺の大好きな国の王都"だった"もの。
そして逃げ惑う無力な人を襲うのは敵の兵。
こんなはずではなかったのに。大好きな国を大好きな国民たちとみんなで笑い合って生きていくと誓ったのに.......
俺の前には次々と殺されていく国民。
「うぁあ!グハッ....」
また一人また一人と........殺されていく......
何故だ、何故俺の大好きな国がこんなことになっているんだ?
そう困惑している俺の耳に聞こえたのは呑気な男の声。
「おう、お前かこの愚かな国の愚かな王子は」
俺が呆然としながら、聞こえてきた男の方を見ると剣を持って立っていた。血で濡れた剣を携えて......
「誰だ?....お前か? お前なのか!? こんなことをしたやつは....お前なのかぁ!?」
俺がそう、問いかけるとその男は
「いかにも、俺だが? それが?」
平然とこいつは笑いながらそう告げた。それが俺に
は耐えられなかった。
「何故、こんなことをする⁉︎ .....何故、この国を襲う⁉︎ 答えろっ!」
俺は怒りのあまり顔を真っ赤にしながらこいつに聞いた。
「あぁ? うるっせぇな。何故かって? そんなの決まってるだろ?.....金、だよ。知ってるんだぞ? この国の地下にはまだ誰も見たことのないような巨大なダンジョンがある、そうだろ? 王子?」
あぁ、確かにある。あるが、
「そんなことのためにこの国を! 民を! 殺すのか!」
「あぁ?そんなこととは何だ? 人間そんなもんだろ? 全て人間がすることは己の欲を満たすため! 色欲! 食欲! 生存欲! 怠惰欲! 感楽欲! 名誉欲! これらの欲望に従い、人間は日々生きている!!これらを満たすために生きている! 金、女、玩具、名誉、これらなどを使い、それを満たしていくんだ!!!!! そのためには力がいる。誰もをなぎ倒すような圧倒的な力が!!!!」
こいつはそんなことのために殺すのか?この国にいる数百万以上ある命を!!
俺は、ハラワタが煮えくり返るような怒りを味わった。
「そんなこ...」
「おっと、そんなこととは言わせないぜ?お前にもあるんだろ? 醜い欲が、...ん? ほら、言ってみろよ、このガルダ帝国騎士団団長 エルド=グリトニア様が聞いてやるぜ?
いや、ないんだっけか? お前はこう言っていたもんなぁ? 争いを無くしたいと、全ての人を助けたいと、悪を無くしたいと。だが、そんな王子に言っておいてやる。
責任を持ち過ぎれば全員にとっての害となる。
さらに、
正義感もありすぎるとこれは逆に悪となる
わかるか? つまり、お前は『害悪』、だ」
違う、違う。こいつの言葉に耳を貸すな。こいつは俺を惑わそうとしているだけだ。
「団長! そろそろ時間です!」
そこに1人の敵兵が走ってきた。
「そうか、わかった。先に行っとけ、俺はこいつに最後の仕事をしなくちゃなんねぇ。
さて、聞いていただけた通り俺には時間がない。だから簡潔に言うぞ?
お前にはダンジョンに落ちてもらう。最後の生贄としてな。
あばよ、愚かなるアルド王子」
そして俺は蹴り落とされた。深く、真っ暗なダンジョンに続く穴へ。
「あぁ.......ごめんな、みんな」
俺は俺の為に死んでいった部下たちのこと、俺が拾った子供たちのことを想いながら告げた
「必ずアイツらを皆殺しにしてみせるから......」
昔の俺なら絶対に言わないことを言葉にすることで俺は覚悟を決めた。しかし、そんなこともこの高さから落ちると死んで終わりだろう。だから俺はもう一度言う。
「ごめんな、みんな」
その時、俺の意識は完全に闇の中に吸い込まれていった。
「うっ!」
ここはどこだ? ...いや、わかる。ここは俺があの野郎に落とされたダンジョンの中だ。しかし、それがわかっていても気になる、俺は何故、生きている?
だが、これで
「アイツらに復讐ができる」
暗闇の中、赤い三日月が1つできていた。
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