第二話 練習
俺の名前は「神谷 祐」。毎度のことだが、「ボッチ」だ。説明飽きてきたから、詳しくはプロローグと第一話を読んでくれ(宣伝)まあ、俺は自ら望んで「ボッチ」になったわけだが。俺は目立ちたくない。マジで目立つのは嫌いだ。…なんでいきなりこんなことを言い出したかというと。
「あれが…噂の…」
「本当だ…目が怖い…」
先日の一件(詳しくは第一話以下略)で、俺が目立ち始めているのだ。…俺、ただ笑っただけなのに…目つき悪いのはコンプレックスなので言わないでください。俺、つくり笑い苦手なんだよな。一刻も早くなおさないと…
と、いうわけで、今日は日曜日!鏡に向かって、笑顔の練習だぁぁぁぁ!!!
………
……………………
…俺、ただの変人じゃね?
一人で鏡に向かって笑うとか、他から見たらナルシストじゃ…
まあ、いいや。家に来る友達もいないし。よし!気を取り直して、せーの!
怖っ!俺、笑顔怖っ!そりゃビビられるわ!よく見たら俺…
…目つき悪っ!!!!!
ーーー絶望中ーーー
ふう。さて、もう一度笑顔を練習…練、習………
あれ?何で俺、笑顔の練習してたんだっけ…
えーと…えーと…
ーーー30分後ーーー
あ!思い出した!!!
目立たないためだ!!!
目立たないために笑顔の練習をしてたんだった!
忘れてた忘れてた。
…あれ?でも、よく考えたら…
……笑顔の練習、いらなくね?必要なくね?
だって、そもそも、人に笑いかけたあの日が珍しかっただけで、普段、周りと関わりがない俺には、一年に一回使うか使わないかぐらいの笑顔なんて、特に練習しなくてもいいんじゃ…
それに、目立つって言っても、噂されるくらい、特に害はないんじゃ…
というかむしろ、怖がって近寄ってこないなら、むしろそっちのほうが好都合なんじゃ…
「…………俺のあの絶望は、すべて無駄だったわけか……」
「というか、喋べんの結構久しぶりだな…」
たまに独り言でも言って、吐き出さないと、今の生活は耐えられないんだよなぁ…
それでも、俺は……
「それでも、俺はボッチでいないといけないんだ。」
確かに、俺は自ら望んで「ボッチ」になった。
でも、俺は「ボッチ」が好きなわけではない。
ただ、「ボッチ」にだって得はあると、言い聞かせているだけだ。
…自分が「ボッチ」でいる…いや、「ボッチ」で『いなきゃいけない』理由を思い出しながら、俺はーーー「神谷 祐」は、さっきまでの「自分」が『作り物』だったかのように、ついさっきまでの表情は、態度は、思考は、すべて一瞬で消え去り、まるで何かを恐れる子供のような顔をーーーーーー
ーーー必死にこらえて、『笑った』
「俺は、」
そして、繰り返すように、自分に言い聞かせるように、誰も聞かない、いや、聞けない独り言をーーーーーー
「俺は、俺だけは、幸せになるな。」
「……なっちゃ、だめなんだ。」
ーーー何かを必死にこらえながら、無理やり笑顔を作りながら、
「俺、だけは」
そう、つぶやいた。
……………次の瞬間には、まるで、何もなかったかのように、最初の、『いつも通り』の、「神谷 祐」が、そこにいた。
どうもこんにちは、白神零鬼です!今回は結構、急展開だったように感じています(俺だけかな…)。なんか、ここらで伏線はっとくか!フラグフラグ!みたいなノリで書き始めたのですが…早すぎた!まあ、これから明かされていく主人公の秘密を楽しみながら読んでいただければ、嬉しすぎて飛び出しそうになります!では、また次話でお会いしましょう!




