第二章 「ノア」
誤字などがあったら教えて下さい!
爽やかな風に木の葉が揺らいでいる。柔らかな光に包まれている丘。そして俺の耳に届いた言葉。
『特別』
この世界には剣に宿る意思と精霊の二つの要素がある。剣に認められたものはその剣に秘められた力を引き出すことができる。また、精霊に認められたらその精霊のもつ特殊な力を使える。それを『魔法』という。そして剣と魔法の両方を使うことはできない。ある一人の人物を除いては。
「俺は特別なのか?」
驚きつつも精霊に尋ねてみると
「そう、君は剣も魔法も使えるんだよ」
精霊は無邪気に笑いながら答えた。剣と魔法のどちらも使えるたった一人の赤髪の少年。名を『ノア』という。
「なんで俺だけ両方使えるんだ?」
「それはさっきも言った通り君が特別だからさ」
俺は孤児院で育った。生まれて間もないころ両親を亡くした。両親は領地争いで戦死したらしい。それで一人になった俺は孤児院の院長に拾われて孤児院にきた。別にそんな特別なわけじゃない。なのになんで俺だけが剣と魔法のどちらも使えるのかが知りたい。
「なんで特別なんだ?」
精霊は俺の目をじっと見てこういった。
「それは君の事をよく知ってるひとに聞けばわかるよ」
精霊はそういうと森の中へと消えてしまった。
「俺の事をよく知ってる人か,,,」
小さくつぶやくと
「もう昼にするぞ」
院長が俺を呼びに来た。その時にひらめいた。俺の事をよく知ってる人。そう、俺を拾ってくれた院長ならわかるかもしれない。
「院長!俺って特別なんですか!?」
院長に迫ると
「とりあえずとりあえず飯だ飯」
俺が特別かどうかより昼ごはんの方が院長にとっては大事らしい。