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◆北の神様(その3)


◆北の神様(その3)


やがて森が開けると草原が広がり、遠くに北の神殿が見えて来た。

草原の途中からは神殿へ向けて広い道が作られている。

その道を2頭のケンタウロスに似た生き物に牽かれた白い馬車のような乗り物がやってくる。

馬車のような乗り物は、近くにくると結構大きなものだった。

おそらく4t半のトラックくらいの大きさはあるだろう。


1頭のケンタウロス似の生き物が、その白い馬車にミキを乗せ換えると今度は3頭で馬車を牽き、北の神殿目指して走り始めた。

天上界の乗り物は、やはり環境に優しいのだ。

「大将! オオトロ早く握って。 もう、お腹ペコペコだよ・・・むにゃ、むにゃ」

馬車の中でもミキの寝言は相変わらず、食べ物のことばかりである。


徐々に近づいてくる北の神殿は、東や西の神殿と作りが違っていた。

まず、その壁の色が淡いピンク色である。

全体的に神殿と言うよりは、ディ○ニー○ン○のシ○デレ○城のような姿をしている。

これは北の神の趣味なのだろうか?

馬車のような乗り物は、神殿の入口に着くと速度を落として中庭に入り、大きな噴水の前で止まった。

ミキは相変わらず眠りこけていて、目覚めそうにない。

そのままケンタウロスに似た3頭の生き物に抱えられて、神殿の内部に運ばれていった。

・・・

・・

「お前達、ご苦労であった。 娘をそこに寝かせたら、下がってよいぞ」

北の神様は嬉しそうに、大きなベッドに寝かされたミキを見ながら言った。

         ★

3頭の美人ケンタウロス似の生き物達は、神殿の中庭に出ると井戸端会議を始めた。

この3頭の顔は見分けがつかない程、そっくりである。

ミキ、エミ、アヤとペアにして、名前を当てるゲームをしたら面白そうだ。


ただし彼女達は、我々が例えば象を見た場合みんな同じに見えるように、種としての造形が一致しているだけのようではあるが。

「ねぇ、また神様の悪趣味が始まったわね」

「しっ、聞こえるわよ!」

「大丈夫だって。 今はあの娘に夢中になってるもの」

「あ~ぁ、可哀想に」

「ねぇ、今度は、どのくらいで飽きるか賭けない?」

「って言うか、あの娘がどこまで持つかじゃないの?」

「それは言えるわね。 お~怖っ!」

「あたし達、下半身が馬で良かったわね」

「プッ それ言えてる」

「やだぁ」

3頭は笑いながら、神殿の外の森へと消えて行った。

         ★

ミキはベッドの上でスヤスヤ寝ている。

いつもは寝相が悪く、鋭二も手を焼いているが、例のキノコの胞子の作用の所為か今は寝返りもあまりしない。

ただし、寝言は相変わらずである。

「そのバスケットの中のご馳走、あたしにも少しください! お願いします」

そんな姿を北の神は、ただワインのような液体を飲みながら、じっと見ていたが

やがて、酔いが回ったのか赤い顔をしながら、立ち上がるとゆっくりとミキが寝ているベッドの傍に近づいて行った。



次回、「北の神様(その4)」へ続く


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