◆南の神様(その2)
◆南の神様(その2)
『ふふっ 来た来た。 お義姉さまって、ほんと面白そう♪』
そう言いながら微笑む女神は、まだ10歳くらいの女の子に見える。
『ここに来た目的をすっかり忘れているようだから、ちょっと驚かしちゃおうっと』
女神が指先をくるくるっと回すとミキが乗ったボートの周りの水流が突然激しくなる。
「ごわっ! 急に流れが激しくなったよ~。 いったいどうなってるんだ!」
ミキは急流に乗ってスピードを上げるボートの上で慌てふためく。
『ふふっ 超面白いーー♪』
でぇーーーっ
目の前の水路が大きくカーブしているのが目に入り、ミキは叫び声を上げる。
『ダメだ。 ぶつかるぅーーー!!』
ミキは手摺を握り、ぎゅっと目を瞑った。
「・・・」
目を瞑ってから何秒かしても、何かにぶつかった衝撃などは感じられない。
『ありっ?』
恐る恐る、そぉっと目を開けてみるとボートの船首部分に女の子が立っていてミキの事を見ている。
「あ、あなたは誰?」
「ふふっ お姉さん、ここ気に入った?」
「も、もしかしたら・・・あなたが南の神様?」
「ピンポ~ン。 おお当たりぃー」
「あっと。 それじゃ早速お願いなんですけど」
ミキは素早く、東の神様にもらった書類を差し出す。
「なぁにこれ?」
「あなたのお兄さんから渡された書類です。 おそらく、あたしのお願いしたい用件について書いてあるはずなんです。 是非読んでください」
ミキは必死である。
「いやよ」
「そ、そんなぁ・・・」
「だって面倒くさそうなんだもの」
「そんな事を言わないで。 お願いします!」
ミキは拝み倒しにかかる。
「だったら、ひとつ条件があるわ」
「あ、あたしに出来ることなら何でもしますから」
「そぉ? 絶対に後悔しないわね?」
ドキーーッ
『もぉ・・・この家族は、っとぉにぃーーっ』
「嫌なら別にいいのよ。 ここでもう少し遊んで帰ったらいいわ」
「あぅ・・・ で、何をすればいいんでしょうか?」
「ふふっ やってくれるのね?」
「あっ、いや・・・ 内容しだいって事ですが・・」
次回、「南の神様(その3)」へ続く




