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◆謎の女・キャサリン(その2)


◆謎の女・キャサリン(その2)


そう言うとキャサリンは、ミキを見てニッコリと笑った。

ズキューーン

グハッ

『こ、これは・・・ひょっとして女神の微笑み』

ミキは、その衝撃に思わずよろよろと後ずさり、ガードレールをつかんで止まる。


よく見ればキャサリンは、セーラー服を着ていてもキュートな女子高生であるが、ドレスでも着せたら物凄い美人に変身するだろう。

やはり、天上界からやって来たのに違いない。

そうミキは確信した。


『でも、いったいなんで・・』

ミキは西の神や北の女神や大神の一件で、大変な思いをしてきたため、しばらくは天上界と距離を置きたかった。

なのに、この娘はいったい何故、あたしを天国へ連れて行こうとするのだろう?


ハッ

『もしかして・・北の女神の使者?』

「アイヤー ソレは違うアルネ!」

キャサリンは大きく手を振って、北の女神とは関係ないことをアピールしている。

「そっか、心が読めるんだっけ?」

「デモ、アナタ。 アタシのココロは、見エナイアルネ!」

キャサリンはニヤリと笑う。


ミキは試しに、目の前のキャサリンの心の中を覗こうとするが、靄がかかったようで読むことは出来ない。

「ワカッタアルカ?」

キャサリンは確認するようにミキの顔を覗き込むと、再びミキの腕に自分の腕を絡ませ、再び歩き始める。


「ああっ、ちょっとってば・・」

ミキは、キャサリンにグイグイ引っ張られて行く。

それにしても、すごい力だ。

ミキは抵抗するのは諦めて、キャサリンに並んで歩き始めた。

「あのね、キャサリン。 あたしのクルマは反対側に停めてあるんだ」

「ソレガドシタアルカ?」

「だ、だって、ここ(地下)からいったい何処に行こうっていうの?」

「ダカラ天国アルネ! ホラッ」


ミキがキャサリンのゆびを指した方を見ると壁に真っ黒な大きな穴が開いているのが見えた。

『瞬間移動じゃなくて、あそこを通って天上界に行くって事?』

ミキは、大きく開いた真っ暗な穴の先に嫌なものを感じ始める。

「ねっ、あんな穴じゃなくて、あたしと一緒に瞬間移動であっちに行きましょう」

「ソレハ、絶対ダメ! ・ア・ル・ネ・!!」

キャサリンはミキを睨みながらドスの聞いた恐ろしい声でゆっくりと言った。

それは明らかに天上界の者とは違った何かを感じさせる。


『ヤバイ、ヤバイ、ヤバイよ~』

ミキの頭の中で、ヤバイぞアラームが鳴り響き始めた。

目の前にブラックホールのような漆黒の大きな穴がどんどん迫って来る。

ミキは再び足を突っ張って抵抗するが、穴はもう目と鼻の先だ。

ヒュゥゥーー

穴に近づくとまるでミキを飲み込みたいかのように、穴の中に向かって周りの空気が凄い勢いで吸い込まれて行く。

「わわわっ。 ちょっと、タンマ、タンマ」

「ダメアル! アタシと一緒に地獄にオチルアルヨロシ!」

「じ、地獄ーーーー?」

シュボッ

まさしく掃除機が大きな塵を吸ったような音と共にミキの姿は、穴の中に吸い込まれたのだった。


次回、「地獄良いとこ一度はおいで」へ続く


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