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〈第三十一話 五階層到達〉

 


 シュリナの台詞にニヤリと笑った私だけど、別に魔物を狩りたいわけじゃない。



 正直いえば、狩りたくない。



 人に害を与えるものは、狩られても仕方ないと思ってるけどね。そうでなければ、正直ほっといてもいいかなぁって、思っている。魔物たちも生きているのだから。そう思う私は、ハンターの中ではかなりの異端だと自覚していた。



 ハンターの中には、魔物に村を襲われた者、家族を殺された者が数多くいるからだ。彼らにとって、魔物の存在そのものが悪なのだ。



 その気持ちは理解出来る。だけど私は、どうしても、魔物全てが悪とは思えなかった。



 だから私は、「キャン! キャン!」と鳴きながら、尻尾を巻いて逃げていく魔犬の後を追うことはしなかったし、魔法で攻撃して止めを刺すこともしなかった。



 これがもしダンジョンの外なら、私は躊躇ためらわず、魔犬に止めを刺していた。



 戦う術を持たない一般人が標的になるからだ。



 でも、ここはダンジョン内。



 はっきりとした理由は不明だが、ダンジョン内を棲みかにしている魔物は、ダンジョンの外には出ないからだ。



 つまり、危険性が低い。



 事実、ドーンの森がそうだ。あそこは、森自体が一つのダンジョンだった。突如発生するダンジョンとは違うが、セーブポイントがある時点で、ダンジョンだとハンター内では認識されている。



 それにもし外に出る危険性があるのなら、ダンジョンの入口の警戒はもっと厳しくなるはずだ。ましてや、ここは王都の近く。もっと厳重な警備をひいていたはずだ。まぁさすがに、入口には魔石の結界が張ってあったけどね。それはあくまで、念のため程度の。



 だから私は魔犬を追わず、落ちている魔石を拾っていた。鞄に魔石をしまってから、私はもう一度、地図を取り出し確認し自分がいる位置を確認する。



「……よかったぁ。間違えてなかった。このまま、真っ直ぐ進むと五階層にでるね」

 道が間違っていなかったことに、私はホッと胸を撫で下ろす。



 ダンジョンに潜った時は、何組かのパーティーの姿が見えていたのに、直ぐに見えなくなった。だから、実はすっごく、内心心配していた。



「違う道を通ったんじゃないかな。僕たちは最短の道を通ってきたけど、それって珍しいと思うよ。大体、一階層から五階層はあえて遠回りして、経験値稼ぎをするのが普通だからね」



「確かに、地道に経験値を稼ぐには、こういうダンジョンは最適だよね。五階層に宿屋があるなら特に」



 ココって物知りだよね。さすが、妖精猫。



「強い敵を一体倒せば、一気にレベルが上がるがな。ムツキがしたように」



「言っとくけど、私は地道に稼ごうと思ってたからね。……それにそれって、一歩間違えば死ぬから」

 シュリナの台詞に、私は苦笑いしながら、訂正と突っ込みをいれた。



「スザク様。睦月さんは規格外なので、一般人と比較したら可哀想ですよ」



 さりげに、酷っ。



「サス君、それはどっちが可哀想なのかな? 詳しく聞こうか」



「えっ!? それは……」



 急に慌てだすサス君。



(言わなくても答え言ってるから、サス君。……どうせ、私は規格外ですよ)



 拗ねてる私に、別の意味で慌てだすサス君。そんな私たちを見て、笑みを浮かべている、シュリナとココ。そして、双子たち。ダンジョンを歩いているとは思えないほど、和気あいあいとしながら進んでいると、いつの間にか、五階層の入口近くまで来ていた。



「あれ? ここって洞窟内だよね」



 一階層から四階層までは、確かに洞窟内を歩いていた。今もだ。だけど、私の目前には光りが見えている。



(トンネルみたい……)



 何となく、私はそう思った。



「ここまではね!! 行けば分かるよ!!」



「早く行きましょ、睦月さん!!」



 サス君とココは、すっごく楽しそうだ。声もそうだけど、歩くスピードも少し上がってる。私もココとサス君につられるように、自然と走りだす。そして、追い越す。私たちは追いかけっこをしながら、五階層に入った。



 ……ここ、洞窟内だよね。



 私は目の前の光景に目を奪われた。驚愕のあまり、唖然として立ち尽くす。



 眼下には小さな村があった。



 そう……小さな村が……



 木々が生え、太陽の光りが燦々(さんさん)と降り注いでいた。



「やっぱり! 五階層全体が、セーブポイントになってるんだね」



「二十階層以上あるから、たぶんそうかなって思っていたけど」



 ココとサス君が嬉しげに笑っていた。



 私はその声を聞きながら、空を見上げる。



(空でいいんだよね……一応。でも、太陽も雲も見えないんだけど……)



「ダンジョン内に太陽があるわけなかろう。あれは魔石だ」

 シュリナが教えてくれた。



 今何と? もう一回、繰り返し言ってもらって宜しいですか、シュリナ様。



「ムツキ、天井に散りばめられている魔石が光って、太陽の代わりをしているのだ」

 今度は、更に詳しく教えてくれた。




 ……さすが、ファンタジー。





 お待たせしました。

 

 次は五階層のお話!!


 それでは、次回をお楽しみに(*^▽^)/★*☆♪

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