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〈第十六話 彼らは祈る〉

 番外編です。

 


 ココが静かにキレていた頃。



 ホムロ村に残って怪我人を治療していたゼロは、ほぼ治療は終わっていた。



 ムツキがくれた特上ポーションのおかげで、重傷者はは全員無事助かった。とはいえ、失った血は戻らない。傷は治っても、貧血で、重傷者たちはベットから離れることは出来なかった。横になっているが、二、三日中には全員起き上がることが出来るだろう。その他の怪我人は、ゼロ自身が持っていたポーションで十分対応出来た。



 怪我が治って自由に動ける者は、そのまま仕事に戻った。



 その殆どが、村の警備だ。



 ーーAランクの、それも変異種のシルバータイガーが四頭。


 

 ゼロとショウたちは、高ランクの魔物が出没したと聞いた時、一瞬現実逃避をしたくなった。しかし、一番新米のムツキは違っていた。ムツキは対策を練っていたのだ。おそらく、頭の中で。



 村に残っているハンターや兵士たちは、束になっても敵わない相手だと十分分かっている。だが、ハンターである以上、命を失うと分かっていても行かなくてはならない時がある。覚悟を決めたハンターたち。



 しかし、ギルマスは彼らの思いを無視し、ホムロ山の入山を禁止した。



 ハンターたちは理由を知る。



 最近、ゴールドカードにランクが上がった少女が、従魔と共にホムロ山に入った事実をーー



 同時に、自分たちは少女にとって、お荷物な存在なのだと痛感した。



 ハンターたちはギルマスから、少女の名前はムツキ=チバだと聞いた。



 ムツキはホムロ山に入山したその瞬間、村にいる全員の矢面にたった。少女はその小さな背中に、村人全員の命を背負ったのだ。自ら。



 キャリヤーバードがグリーンメドウと王都バーミリオンに向かって放たれたのが、今日。援軍が来るのは早くても三日かかる。昼夜馬を走らせてだ。その間、年端もいかないムツキがハンターや兵士、民間人の盾になるのだ。



 ムツキが単身、ホムロ山で魔物と対峙している間、村を守るのはハンターや兵士の役目だ。勿論、ショウたちも。ハンターたちと兵士は心に誓う。



 絶対、村に魔物を侵入を許さないとーー



 ハンターたちと兵士の士気は高まっていた。



 それは身を潜める村人たちにも伝わっていく。



 重傷者が助かり、怪我をしていた人間が元気になって働きだしたのを、木戸の隙間から様子を伺っていた住人たちは、次第に心に平安を取り戻していった。



 そして教会に避難していた者たちは、ギルマスがわざと流した情報を耳にする。最高ランクである、ゴールドカードを持つハンターがホムロ山に入ったことを聞くと、それまで緊迫していた教会内は、徐々に平静さを取り戻していった。



 ムツキは意識せずに、ホムロ村の騒動を静めていたのだ。



 ゼロとショウたちだけではない。そこにいる全員が、ホムロ山を見詰める。そして、ギルマスも。



(無事で帰ってこれますように……)



 彼らは、そう祈らずにはいられなかった。






 最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m


 今回はかなり短めですが、どうしても入れたいと思い、書き下ろしました。


 それでは、次回をお楽しに(*^▽^)/★*☆♪




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