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第十一話 決着

 祝!! 連載一ヶ月!!

 


(……ん? 主様? 聞き間違いかな?)


 討伐の途中なのに、意識は子供たちに完全に向いていた。


「ムツキ!!!!」

「睦月さん!!!!」


 ココとサス君の悲鳴に近い叫び声が森に響いた。


(何で、そんな声を上げてるの?)


 はっきりと聞こえているのに、どこか遠くで聞こえるサス君とココの声。声にならない声で、私はサス君とココに尋ねる。


 ブラッキッシュデビルは深手を負いながらも、目は血走り、マズルは深いしわを幾筋も刻み、口元からは鋭い牙を覗かせている。血が混じった涎をタラリと垂らしていた。


(あの牙に捕まったら最後だよね。……あれ? なんで、アップで見えてるの?)


 自分の目で確かに見ているのに、どことなく他人事のような……BDとかの映像を見ているような……妙な感覚だ。


 でも、意識はちゃんとある。


 ただ……恐怖心は麻痺していた。それに、妙に体が軽い。


 自分が次に何をしようとしているのか分かっていた。


 サス君とココが悲鳴をあげたその瞬間、私はブラッキッシュデビルに真っ正面から突進していた。足元にある岩を踏み台にし、私はナイフをブラッキッシュデビルの脳天に突き刺そうと振りかざす。


 しかし、ブラッキッシュデビルは後ろにジャンプし避けた。


 繰りだされたナイフは虚しくも空を切る。私は膝を折り、屈伸する形で地面に着地した。


 その瞬間を待っていたブラッキッシュデビルは、大きな口を開け、牙を剥き出し、今まさに私に噛みつこうと襲い掛かる。


 普通なら恐怖で体が硬直するだろう。しかしこの時の私は、クスッと口元に笑みが浮かべていた。


 私は左手を前に付き地面にあてる。同時に、地面に魔方陣が浮かび上がった。土の柱が地面から出現し、私とブラッキッシュデビルの間を遮る。


 突進してきたブラッキッシュデビルは、急に止まることが出来なかった。土壁に激しく体をぶつけるが、魔法防御に変換しているのでダメージはさほどない。土壁は意外に脆く、体当たりの衝撃で粉々に破壊された。


 私以外、ブラッキッシュデビルも気付いていなかった。


 その時点で、既に勝者は決まっていたことを。


「これで、チェックメイトね」


 ブラッキッシュデビルの頭上から放たれた声と同時に、私はナイフを首に突き立てた。ブラッキッシュデビルの胴体を足場にして、後ろに体重を移動する。体の反動を使い、一気に引き抜くと間合いをとった。鮮血が刺した傷口から一気に吹き出す。


 私はそれを冷めた目で見詰めていた。


 毛皮の半分以上を己の鮮血で染めている。この状態でも鳴き声一つ上げず、倒れないブラッキッシュデビルに、私は握っていた双刀(ナイフ)で急所を何度も切り裂く。


 そこには、何の感情もなかった。生まれもしなかった。淡々と事務的に行われる作業。


 無慈悲にもナイフが振り下ろす度に、ブラッキッシュデビルから鮮血が吹き出す。


 そして遂に、ブラッキッシュデビルは崩れ落ちた。


 崩れ落ちた体は、もう……起き上がることはなかった。


 ブラッキッシュデビルの体が青白く発光する。拳一個分の魔石と毛皮、牙が鮮血の血溜まりの中転がっていた。


 地面に落ちているドロップアイテムと魔石が、激闘の終わりを告げている。


「…………勝てたの?」


 ゼイゼイと息を乱しながらポツリと呟く。激しい脱力感と倦怠感が急に襲ってきた。


「睦月さん!!!!」

「ムツキ!!!!」


 サス君とココの慌てる声が直ぐ側で聞こえる。


「…………よか……っ…た……」


 私が覚えてるのはここまでだった。


 






『『…………主様……も…すぐ……です……』』


 ウキウキとした楽しげな小さな子供の声が、私に話し掛けてくる。その声は途切れ途切れだ。


 私は子供たちが発した言葉の意味が分からない。でも、どこかで同じような言葉を聞いた気がする。


(どこだったかな……?)


 まるで、ふかふかの羽毛布団に体が沈み込んでいくような、気持ちいい感覚に浸りながら思い出そうとする。だけど、疲れていた私は途中で考える事を放棄した。




『もう直ぐ会える。もう直ぐにな……』


 放棄した私に語り掛けて来る声は、子供の声ではなかった。






 お待たせしました。

 遅くなり、すみませんm(__)m

 最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


 それでは、次回をお楽しみ(*^▽^)/★*☆♪

 

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